「あれ? いま何しようとしてたんだっけ?」「ほら、あの人、名前なんていうんだっけ?」「昨日の晩ごはん、何食べんたんだっけ?」……若い頃は気にならなかったのに、いつの頃からか、もの忘れが激しくなってきた。「ちょっと忘れた」というレベルではなく、40代以降ともなれば「しょっちゅう忘れてしまう」「名前が出てこない」のが、もう当たり前。それもこれも「年をとったせいだ」と思うかもしれない。けれど、ちょっと待った! それは、まったくの勘違いかもしれない……。
そこで参考にしたいのが、認知症患者と向き合ってきた医師・松原英多氏の著書『91歳の現役医師がやっている 一生ボケない習慣』(ダイヤモンド社)だ。
本書は、若い人はもちろん高齢者でも、「これならできそう」「続けられそう」と思えて、何歳からでも脳が若返る秘訣を明かした1冊。本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、脳の衰えを感じている人が陥りがちな勘違いと長生きしても脳が老けない方法を解き明かす。

【91歳の医師が教える】「一生ボケない人・ボケる人」を分ける…大切な“親の脳”を守るたった1つの方法Photo: Adobe Stock

離れて暮らす家族と
電話で言葉のやりとり

【前回】からの続き 高齢のご両親と離れて暮らしている、読者のみなさんにお願いです。私が患者さんにボランティア電話をしているように、どうぞ1日1回、連絡してあげてください。親御さんが1人暮らしなら、なおさら必要な気配りです。

そこで生まれた会話が孤独を癒いやし、離れて暮らす高齢者の脳を働かせる貴重な機会となります。ちょっとした気遣いですが、それが認知症予防に役立つのです。そうお願いすると、患者さんの家族などから、「連絡は電話ではなく、メールやLINEでもいいですか?」という質問をいただくことがあります。

音信不通で何も連絡しないよりは、メールやLINEで連絡するのもよいでしょう。しかし、私はやはり電話をかけたほうがいいと思っています。私が古い人間だから、そういうのではありません。会話でコミュニケーションをとるほうが脳の刺激になるので、電話で連絡してほしいのです。

使いこなせるなら遠くの家族と
動画通話で会話しましょう

携帯電話会社には、1回5分以内または10分以内の通話なら、いくらかけても無料、または定額というサービスを提供しているところもあるようです。ご機嫌伺いと思い出し作業のお手伝いなら1回3分程度で終わるでしょうから、こうしたサービスを活用してみるのもよいでしょう。

また、LINEやフェイスブックにも音声通話やビデオ通話の機能がありますから、もしご両親が使いこなせるようなら、大いに活用してください。音声だけでなく、動画とともに会話したほうが、お互いに表情を読みとりながら、ちょっとした変化にも気づきやすくなるでしょう。

※本稿は、『91歳の現役医師がやっている 一生ボケない習慣』より一部を抜粋・編集したものです。(文・監修/松原英多)