つみたてNISAやiDeCoでは投資信託の分散を心がけようとよく言われる。教科書的には国内外の株と債券に分散するべきだが、低金利の中で日本債券型投信を組み入れることに意味はある? 日本債券型投資信託の成績から検証してみよう。
低金利政策の維持は投資信託の成績への影響大!
債券型投資信託の中で、最もリスクが低いのが、先進国で為替リスクもない日本債券型投資信託だ。
しかし、日本債券型投資信託なら必ずプラスの成績が確約されるかといえば、そうではない。
日本は1999年から2000年にかけてゼロ金利政策が実施された。さらに16年にはマイナス金利政策を導入。日本の10年物国債の最終利回りはマイナスになった。
その後も日本は長期にわたって低金利政策を維持し続けている。
日本債券型投資信託の中には、国債だけでなく、日本で発行された政府機関債や社債などを組入れる投信もある。こうして国債より金利が高い社債などを組入れることで、保有している債券全体での最終利回りをプラスにすることを意識しているのだ。
信託報酬が最終利回りを上回る“水没”の投資信託に注意
しかし、投資信託の最終利回りがプラスであればいいというわけではない。最終利回りがプラスでも、そこからは運用コストである信託報酬が差引かれることになる。これにより、最終利回りが信託報酬の比率を下回る“水没”している投資信託もあるのだ。
現に、主な日本債券型投資信託10本は、信託報酬より最終利回りが低く“水没”、またはギリギリの水準の投資信託が多い。そして、10本すべての1年の騰落率がマイナスとなっている。
国内債券型だから安心という固定観念は捨てる
長らく続く低金利政策により、日本債券型投資信託は投資対象としての魅力が薄れている。日本債券型投資信託だから低リスクで安心という固定観念は捨て、最終利回りから信託報酬を差引いた数字が水没していないかどうかをチェックすることが重要なのだ。
むしろ、「低利回りの日本債券型を選ぶより現金に移したほうがまし」という意見も。一昔前は、国内外の株式と債券の4つの投資先に分散する方法が投資の教科書にあったが、現状では国内の債券への投資は利点があまりない。
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