「うちの子、計算は得意だったのに…」子どもの算数嫌いが始まる1つの分岐点Photo: Adobe Stock

開成、麻布、桜蔭、雙葉、筑駒、渋幕……東京・吉祥寺を中心に都内に展開する進学塾VAMOSは、「入塾テストなし・先着順」で生徒を選抜しないが、「普通の子ども」を有名難関校に続々と合格させると話題の塾だ。子どもの特徴を最大限に生かして学力を伸ばす「ロジカルで科学的な学習法」が、圧倒的な支持を集めている。本稿では、VAMOSの代表である富永雄輔氏の最新刊『ひとりっ子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)から、「子どもの算数力を伸ばすコツ」について一部を抜粋して紹介する。

割合は算数の中で最も難しい単元

 計算問題は順調に解けていた子でも、躓く可能性があるのが「割合」です。というのも、算数において、はじめて読解力や暗記力が問われるようになるからです。

 まず、「4割6分というのは、46%なんだ」と理解しなくてはなりません。そして「46%割引されるというのはどういうことか」というのも考えなくてはなりません。

「投票率が57%だった市長選挙で42%の票を取ったということは、市民からどのくらいの支持を得ているのか」ということなども、割合の概念がないとチンプンカンプンです。

 こうした概念は子どもには理解が難しいのですが、大人になってからもビジネスの場で絶対に必要とされるので、しっかり身につけさせましょう。

日常生活の中で割合のトレーニングをする

 以前は、嫌でも割合について頭を働かせなければならない場面が、生活の中にたくさんありました。たとえば、1800円の商品が2割引で売られているとき、以前だったら「20%オフ」とあるだけで充分でした。みんなすぐに「1800×0.8=1440円」と計算できたからです。

 ところがゆとり世代以降、お店の価格表示は変わりました。今は、バーゲンの価格表示など、割引後の値段まで書かれています。子ども時代に基礎の反復学習を軽視していたことで、今はそれができない人が多いのです。

「でも、割引後の値段も書いてあるんだから困ることもないし」「必要ならスマホの電卓機能を使えばいいじゃん」という意見もあるでしょう。しかし、価格交渉などビジネスの現場では、瞬時にさまざまな計算ができる人が有利なのは間違いありません。

 普段の生活でも、「豚挽肉を牛挽肉の倍量入れるということは、200gのハンバーグを3つつくるには、豚挽肉は400g必要なのね」というように、私たちはいろいろなところで割合の概念を使っています。

 言ってみれば、割合は生きていくためにとても重要なスキルです。買いものに行ったときなど、いくらでも親子で学べる機会がつくれますから、しっかり身につけさせましょう。

(本稿は、『ひとりっ子の学力の伸ばし方』からの抜粋・編集したものです)