1回戦は主砲・蛭間拓哉(4年)の2ランホームランも飛び出して、早稲田が5X-4で勝ち切った。蛭間は先のドラフト会議で埼玉西武ライオンズが1位指名。勝負強さをアピールした。
早稲田の先発・加藤孝太郎(3年)の力投で慶応の強力打線を7回まで零封。だが、8回に上位打線につかまり3点を献上する。後を受けた原功征(4年)が踏ん張ったものの、9回表にはホームランを打たれて勝ち越しを許してしまう。3-4で迎えた9回裏の攻防。その緊張感たるや、呼吸を忘れ、まばたきもできないほどだった。
慶応は早稲田の攻撃を抑え切れば勝ち。ドラフト会議で横浜DeNAに5位指名された橋本達哉(4年)の投じる一球一球に、2万2000人の視線が突き刺さる。コロナ規制で声援の代わりに拍手が湧くのだが、ストライクが決まれば、三塁側の慶応応援席から大拍手。外れてボールとなれば、一塁側から「おお!」というため息と控えめの拍手。これが一球ごとに繰り広げられるのである。
この場面で6番吉納翼(2年)が一、二塁間を抜くヒット。代打の梅村大和(2年)が1球目に見事な送りバントを決め、二塁代走に尾瀬雄大(1年)が立つ。ここで8番山縣秀(2年)がセカンド前へプッシューバント。山縣は一塁へ懸命のヘッドスライディング! これがセーフとなる。一、三塁で代打・森田朝陽(3年)が死球を受けて満塁。続く熊田任洋(3年)がショートへのハーフライナーで2死満塁となり、この最期のチャンスに2番松木大芽(4年)の打球はライト前へ。劇的なサヨナラ打となったのである。二塁ランナーの山縣はヘッドスライディングでホームベースに飛び込んだ。
澄み切った秋晴れの2回戦。その攻防も見ごたえ十分だった。