ただし、この問題は、本質的には岸田首相や現在の党執行部だけの責任ではなく、過去の自民党から連綿と続いてきた体制や風土に起因している。そこが、解決に向けた「かじ取り」の難しいところだ。

 それでも、岸田首相が先人に忖度(そんたく)することなく、歴史的背景も含めて教団との関係性を説明し、解決に向けて誠実に取り組めば、今のように批判は広がらなかっただろう。岸田首相が初動を誤ったことのツケは非常に大きかったのだ。

「霊感商法騒動」から時がたち
岸田首相らの危機感が薄れていた?

 国のトップである岸田首相ともあろうものが、なぜこうした道を選ばず、「組織的関係を否定する」という小手先の対処に終始し、「辞任ドミノ」を招いてしまったのか。

 あくまで私の見立てだが、岸田首相ら幹部は、政治と旧統一教会の問題を、閣僚が辞任するほど深刻な問題とは考えていなかったように思う。

 旧統一教会による「霊感商法」は、確かに20年ほど前に大きな社会問題として取り沙汰された。だがそこから時がたち、メディア等で報じられるケースは減った。「宗教2世」の問題が表面化することもなかった。

 また旧統一教会側も、その後は体制を是正して「近代化」したと説明していた。岸田首相や党幹部はこれをすっかり信じていたのだろう。

 そのため、安倍元首相暗殺事件をきっかけに自民党と教団との関係が批判を浴びても、岸田首相は心のどこかで「一時的なもの」「旧統一教会の問題は終わったこと」だと楽観的に考えていたのかもしれない。

 教団との接点が発覚した大臣や政治家も、「自らが積み上げてきた実績と評価を『些末(さまつ)な問題』で失いたくない」という思いがあったのだろう。そう考えると、彼らの対応が後手に回ったことにも合点がいく。

どんなに優秀な政治家でも
世襲でなければ選挙に弱い

 では、日本の政治家はそもそも、なぜ宗教団体に頼らないと集票できないのか。ここからはその根本的要因についても考えていきたい。

 私の意見では、その要因は世襲議員とその他の議員の「格差」である。

 世襲議員は、金銭面・集票面の両方で親の基盤を受け継ぎ、選挙に強い。そのため、宗教団体から支援を受ける必要はない場合が多い。

 世襲議員である河野太郎氏が「霊感商法対策の担当大臣」であることは象徴的である。

 その一方で、非世襲議員は、どうしても基盤の面で世襲議員に劣る。旧統一教会との接点が発覚した政治家も、どちらかというと「優秀だが、選挙に弱い」人物が多い印象だ。