追い打ちをかけるように、今度は寺田稔・前総務相が政治資金問題で辞任した。寺田氏の政治団体が、地元・広島県内の事務所を共有する寺田氏の妻に、賃料として9年間で約2000万円を支払っていたと週刊誌が報じるなど、政治資金の問題が次々と指摘されたことが引き金になった。
 
 加えて、岸田首相本人にも、「選挙運動費用収支報告書」に添付した領収書94枚に、宛名もただし書きもなかったことが判明し、公職選挙法違反の疑いがあると指摘された。

 この手の閣僚や政治家のスキャンダルは、他にも数多く発覚しており、枚挙にいとまがない。

 その中には「政治とカネ」「政治と宗教」に関する深刻な問題もあるが、必ずしも重大とはいえないものも混ざっている。

 要するに、メディアが重箱の隅を突き、揚げ足を取り、新しい問題を見つけては報道し、岸田内閣を追い詰めているのだ。それが支持率低下の一因になった可能性も否定できない。

「辞任ドミノ」を招いた根本的要因は
岸田内閣の初動の悪さだ

 だが、この状況を招いた「そもそもの要因」は、安倍元首相銃撃事件が起きた後の、岸田内閣の初動が悪かったことに尽きる。いわば「自業自得」なのだ。

 容疑者の動機が明らかになり、「政治と宗教」の問題が浮上してきた当初、岸田首相や茂木敏充自民党幹事長は、自民党と教団の間に「組織的関係はない」と強調した。

「党所属議員が旧統一教会との関わりをそれぞれ点検して、適正に見直す」と説明し、個々の議員の責任だとして、党の責任を回避しようとしたのだ(第314回・P4)。

 しかし、それをあざ笑うかのように、国会議員だけではなく、地方の首長・地方議員・地方自治体に至るまで、旧統一教会関連団体との深い関係が明らかになっていった。

 私は最初から、岸田首相や茂木幹事長の主張に異議を唱えていた。教団と党の関係は「組織的な関係」そのものであり、責任が党にあるのは明らかだったからだ。

 その「組織的な関係」がどのようなものか、詳しく説明していこう。