【最新の認知症治療を実践する脳のカリスマが30年超の長寿研究から導いた幸せな生き方】かつて100歳ブームを巻き起こした『100歳までボケない101の方法 脳とこころのアンチエイジング』の著者で医学博士・白澤卓二が、人生100年時代が現実になった今をよく生きる方法をまとめた『長寿脳──120歳まで健康に生きる方法』が完成。現在の脳のパフォーマンスを上げて、将来寝たきりや認知症にならずに長寿を目指し、人間の限界寿命とされる120歳まで生きる方法を提示します。

【認知症専門医が驚いた】100歳以上の長寿者が食べ続けたカルシウム吸収レシピとは?Photo: Adobe Stock

入れ歯でも丸鶏の骨まで食べ続けて101歳! スキーヤー・三浦敬三さんの食事

 スキーヤーの三浦敬三さんは入れ歯でしたけど、100歳のときに圧力鍋で鶏を丸ごと蒸して骨まで食べていました。硬いものを食べることをすすめると、「自分の歯じゃないから食べられない」とあきらめる人もいます。ですが、ぴたっとフィットする入れ歯を作ればいくらでも噛めますし、最近はインプラントも格段に進化していますから、失った歯を補うことも可能ですよね。

歯ぐきが丈夫なら、硬いものは食べられる

 あるいは歯科治療に時間とお金をかけられなくても、あごの筋肉がちゃんとあって、歯ぐきが丈夫なら、硬いものは絶対に食べられないということもないと思います。「歯がないから柔らかいもの、食べやすいものしか食べられない」とあごや歯ぐきを使わずにいると、咀嚼力は急速に衰えていきます。食べものをしっかり噛むと、脳の血流が増えて、脳に十分な酸素と栄養が届きます。満腹になればいいとか、栄養がとれればいいと、噛むことをおろそかにするのは脳のためになりません。

三浦敬三さんが作り続けた、圧力鍋で作る丸鶏炊き

 敬三さんが100歳のときも自炊を続けていたことは書きましたが、毎日料理をしていたわけではありません。1週間分をまとめて作って冷蔵庫に入れていました。作り置きの走りですね。

 鶏を丸ごと圧力鍋に入れて、水を加えて骨まで柔らかくなるまで炊いていました。それを毎日、少しずつ食べる。

 骨までバリバリ噛み砕いて食べるので、カルシウムが存分にとれます。さらに、敬三さんが知っていたかはわかりませんが、鶏、牛、豚などの骨からとっただしは、コラーゲン、アミノ酸、ミネラル、ビタミン類が豊富なボーンブロス(骨だし)になります。ボーンブロスは滋養強壮にもなりますし、傷ついた腸の粘膜を修復する作用もあります。抗炎症作用があるアミノ酸は腸の不調であるリーキーガット症候群の予防・改善にもおすすめです。

●作り方
圧力鍋に丸ごとの鶏、水、自然塩を入れて炊く。骨が噛み砕けるほどに柔らかくなったら完成。冷蔵庫で保存する。

●アドバイス
肉、皮、軟骨、骨、スープ、すべてを食べると栄養満点です!! 敬三さんにならうなら、捨てるところは一切ありません。

本原稿は、白澤卓二著『長寿脳──120歳まで健康に生きる方法』からの抜粋です。この本では、科学的に脳を若返らせ、寿命を延ばすことを目指す方法を紹介しています。(次回へ続く)

監修 お茶の水健康長寿クリニック院長・医学博士・医師 白澤卓二
1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大学院医学研究科博士課程修了。現在、お茶の水健康長寿クリニック院長。