タスクを減らせば、自分に投資できる時間が増える
本田 この本は、もはや辞書だね。ここまで全部書いてる本はないよ。普通の本、5冊分くらいあるんじゃない(笑)。
四角 10年前に出した『自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと』って文字数少ないんですけれど、あの本の10冊分ですね。
本田 (笑)
四角 『自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと』は、言葉を研ぎ澄ませて読者に衝撃を与え、行動を促すのが僕の狙いだったんです。だから文はなるべく簡潔にして、インパクトのある「50の捨てること」を並べました。ベストセラーになったんですが、誰もがあの本を読んで行動に移せるかと言ったらそうではなく、取り残してしまった人たちがいたので、今回の『超ミニマル主義』はそのアンサーソングならぬ、アンサー本なんです。
前回は、50の捨てることを言い放って、以上! で終わっていたので、今回は「じゃあ、どうするの?」まで踏み込んで書きました。例えば、「TODOを捨てろ」に対して、じゃあどのタスクをどうやって減らせばいいのか、その方法だけで50ページくらい書いてます。
本田 面白いね。「タスクを減らす」って。
四角 財布や部屋のような「物質」も、タスクとかスケジュールやデジタル情報といった「非物質」も、とにかく最初に大胆に減らす。できる限り削ぎ落とした後に、残ったものをどう処理していくかを考えます。
物質の場合は、残ったものをすぐ使えるように収納すればいいのですが、タスクのような非物質の場合は、最後に残ったタスクを徹底的に効率化して処理します。本の中では、効率化のためのデバイスやアプリなどのテクノロジーを具体的に紹介しています。
頭脳労働は工夫次第で飛躍的にパフォーマンスを上げることが可能なんですよね。肉体労働は、どんなに頑張っても倍ぐらいのパフォーマンスが限界ですが、頭脳労働は、今まで1時間かかっていたものが10分で終わる、なんてことも可能です。そこで、脳のパフォーマンスを上げる方法、維持する方法や、ナオさんが『レバレッジ時間術』で紹介していた「不明時間」、すなわち「今何やってたんだっけ?」という時間をとにかく減らすことも書いています。
そうやって生み出した時間を、とにかく自分に投資してほしい。自分が好きなことをやるとか、大切な人と時間を過ごすとか、自分にしかできない仕事に充ててほしいんです。
意味のないものまで抱え続ける必要はない
本田 さっき言っていた、物質と非物質的で言うとさ、俺、物質的なものを定期的にリセットしていて。引っ越しがその方法なんだけど、無駄なものを極力なくして生きてたはずなのに、無駄なものが相当出てくるんだよね。でもまあ、物質的なものは引っ越しすればリセットできるんだけど、非物質的なものってさ、引っ越すわけにいかないからさ。
四角 そうですよね。
本田 この前iPad Proを買い替えたときにデータがうまく移管できなくて、たぶん必要なものはDropboxに残ってるだろうと考えて、かなり捨てたの。それを機に、MacBook Proに入っている写真も、今はGoogleフォトで管理しているからいいやと思って捨てたら、すごく軽くなったの。これもある意味、引っ越しによるリセットだよね。
四角 まさに、デバイスの引っ越しですね。
本田 たまたま移管ソフトがうまく働かなかった結果なんだけど、あれを使うと、いらないものも一緒に移管しちゃうでしょ。移管ソフトは便利なんだけど、今回のことで便利じゃないやり方のほうがいいのかなと思ったの。
四角 なるほど、かなり軽量化できたんですね。
本田 アプリもめっちゃ減らした。何なら今もうExcelは使わなくて、100%Googleスプレッドシートだものね。Excelはたまに送られてくるファイルがあるから一応入れてはいるけれど。
四角 Wordはどうしています?
本田 Wordってもう意味がないと思ってて。そもそも添付資料はやめてほしいんだよね。アシスタントにも、一緒に仕事をする人たちにも伝えている。
添付資料って、パッと見たいときに見れられないのよ。たとえば、電波が弱いところにいると、それだけで添付が開けない。個人やチームのやりとりで、キレイにカッコよく書く必要なんてなくて、内容がわかればいいんだから、普通のテキストベタ打ちで十分じゃない?
四角 ナオさんがよくメールで、送信相手に「ベタ打ちにして」と書いているのを見て、僕も真似してそうお願いするようになりました(笑)。
本田 忙しい人たちに「添付を開いてください」って言うこと自体がもう失礼っていうかさ。
四角 余計なワンアクションが増えますよね。メール自体も重くなるし。
本田 そこになんか意味があればいいんだよ。ものすごいなんか複雑な図が描かれているとかさ。でも、Wordで普通のテキストの段を変えたり太字にしたりとか、もう意味なくない?
四角 わかります。それってナオさんならではの「レバレッジ思考」ですね。なるべく余計な労力、余計な時間をかけずに高いパフォーマンスを出すという。改めて、僕のルーツはナオさんの本『レバレッジ時間術』だと実感しました。もう何年前に出たんですかね。
本田 2007年だから、もう15年前だね。先日増刷になって、28刷目!
四角 すご!『超ミニマル主義』の中でもこの本について改めてお勧めしていますけれど、今読んでも使える情報ばかりで驚きます(笑)。当時はナオさん、「デジタルカレンダーだけだと、自分のスケジュールを俯瞰できないから、紙のカレンダーと併用させた方がいい」って勧めていたじゃないですか。
本田 その頃は同期できなかったからね。便利になってくれてよかったよね。
四角 ですよね。スケジュール管理については、「Moca」(月特化カレンダーアプリ)のおかげでデジタルだけで完結できるようになりました。Mocaって画面は小さいけれどスケジュール全体をぱっと俯瞰できるんですよ。