ミニマル化の重要性は、学校の授業でも教えるべき
四角 本の中で、スケジュールの軽量化についてもかなりのページを割いて解説していますが、自分で改めて読み返すと「ああ、ナオさんイムズを引き継いでいるな」と思います(笑)。本の中で「まずはスケジュール管理のプロにならなければいけない」と書いているんですが、以前ナオさんが何かの記事で「まず、タイムマネジメントがしっかりできないと、そもそもビジネスパーソンとは呼べない」ということを言っているのを目にして、それが頭に残っていたんです。『レバレッジ時間術』もそうだし、直接アドバイスいただいたことも含め、ナオさんから一番影響を受けたので、そんなナオさんが僕の『超ミニマル主義』を読んでくれるなんて、僕にとっては本当に感動的で(笑)。
本田 伝えたいことが体系化されていて、とてもいい本だと思う。これって授業にできるよね。すごく便利で必要な情報なのに、学校では教えないじゃん。大学の授業でやったらさ、人間としてのレベルがかなり上がるんじゃない?
四角 なるほど、なるほど。
本田 みんなそれぞれ、いろいろな工夫をしているとは思うけれど、体系立てていないから、再現性がないんだよね。俺も本で何回も書いたけど、体系立てて再現性を作らないと意味がないんだよね。だから、ここに書かれているようなベーシックスキルはさ。教科書だよ。
四角 ありがとうございます。実は僕、体系化は苦手だったんですよ。ロジカルシンキングがあまり得意じゃなかったので、ノウハウはあってもそれを体系化できていなかったんです。
ただ、2018年に『バックパッキング登山入門』という本を出したのですが、そこで僕の登山術を初めて体系化したんです。登山は体力を使うものだから、栄養学や睡眠学から始まり、道具の選び方、実際の歩き方までトータルで網羅しました。この本は、登山雑誌で8年間ぐらい連載していたものをまとめた本なのですが、編集担当者が厳しい意見をくれる人で鍛えられて。そこで自分のノウハウを体系化するコツを得たんです。働き方って、登山に似ているんです。高い山を1つ登れば終わりではなく、山脈を歩き続けるように、長期間にわたってアップダウンを繰り返しながら成果を出し続ける必要がある。『バックパッキング登山入門』があったから、『超ミニマル主義』を出すことができたと思っています。
本田 うん、これだけ幅広く網羅して、体系立ってるものはあまり見たことがない。
四角 めちゃめちゃ嬉しいです! ナオさんはいっぱいビジネス本を読んでいるから、なおさら嬉しいですね。
本田 こういう本は改めて必要だなって思った。大輔の本が伝えていることなんて、仕事だけでなく生きていくにあたって必要なスキルじゃん。無駄なく生きていくために。
四角 いや、まさにそうなんですよ。ライフスキルです。
本田 だからこそ、授業でやった方がいいんじゃない?って(笑)。授業っぽくしたら面白いよ。
四角 そういう発想はなかったですけれど、ちょっとチャレンジしてみたいなあ。
(次回に続く)
『超ミニマル主義』では、「手放し、効率化し、超集中」するための全技法を紹介しています。
執筆家・環境保護アンバサダー
1970年、大阪の外れで生まれ、自然児として育つ。91年、獨協大学英語科入学後、バックパッキング登山とバンライフの虜になる。95年、ひどい赤面症のままソニーミュージック入社。社会性も音楽知識もないダメ営業マンから、異端のプロデューサーになり、削ぎ落とす技法でミリオンヒット10回を記録。2010年、すべてをリセットしてニュージーランドに移住し、湖畔の森でサステナブルな自給自足ライフを営む。年の数ヵ月を移動生活に費やし、65ヵ国を訪れる。19年、約10年ぶりのリセットを敢行。CO2排出を省みて移動生活を中断。会社役員、プロデュース、連載など仕事の大半を手放し、自著の執筆、環境活動に専念する。21年、第一子誕生を受けて、ミニマル仕事術をさらに極め――週3日・午前中だけ働く――育児のための超時短ワークスタイルを実践。著書に、『自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと』(サンクチュアリ出版)、『人生やらなくていいリスト』(講談社)、『モバイルボヘミアン』(本田直之氏と共著、ライツ社)、『バックパッキング登山入門』(エイ出版社)など。