収入と支出の全体が把握できていない状態

 Mさんの家計の月収は、ご夫婦の年金と夫の企業年金、Mさんのパート代を合わせた30万円ほど。支出をうかがうと、全体の把握ができておらず、聞き取りをして通常時は月に約38万円、夫の入院があると50万円ほどかかることが分かりました。これはつみたてNISAの金額を除いた支出額です。つまり、多かれ少なかれ、常に赤字状態の家計ということです。

 収入については、Mさんが67歳になると15年間、毎月4万円ほどが支給される保険に入っているとか、夫の会社の何かが出るなどはっきりしない部分もありますが、生活の仕方が変わらない限り赤字傾向であることに変わりはなさそうでした。

 その赤字はどうしているのかというと、夫の貯金を切り崩すこともあれば、キャッシングしてまかなっていることもあるそう。詳しくうかがっていくと、夫の貯金額のすべては分かりませんでしたが、キャッシングの借り入れ部分と貯金を相殺し、生活防衛資金を確保していくと、投資に回せるのはどう頑張っても最大で700万円程度。当初の予定よりは、かなり少ない金額になってしまいます。

 そして、せっかく始めたというつみたてNISAについては、YouTubeを見て学んだといいます。動画を見よう見まねでやってみるという方法もあるでしょうが、投資とはどういうものか、リスクとは何かなど、基本的な知識を理解しないまま進めてしまうので、「具体的に何の商品を買えばいいのか?」だけを意識するような投資の仕方になっており、お金が増える仕組みや、リスクの大きい・小さいとはどういうことかなどを、分からずにいます。結果、いつも不安で、「減らないかしら、増えるかしら、これでいいのかしら」と、毎日ネット証券の画面を見て一喜一憂……こんな疲れる投資をしてきたようなのです。