「あれ? いま何しようとしてたんだっけ?」「ほら、あの人、名前なんていうんだっけ?」「昨日の晩ごはん、何食べんたんだっけ?」……若い頃は気にならなかったのに、いつの頃からか、もの忘れが激しくなってきた。「ちょっと忘れた」というレベルではなく、40代以降ともなれば「しょっちゅう忘れてしまう」「名前が出てこない」のが、もう当たり前。それもこれも「年をとったせいだ」と思うかもしれない。けれど、ちょっと待った! それは、まったくの勘違いかもしれない……。
そこで参考にしたいのが、認知症患者と向き合ってきた医師・松原英多氏の著書『91歳の現役医師がやっている 一生ボケない習慣』(ダイヤモンド社)だ。
本書は、若い人はもちろん高齢者でも、「これならできそう」「続けられそう」と思えて、何歳からでも脳が若返る秘訣を明かした1冊。本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、脳の衰えを感じている人が陥りがちな勘違いと長生きしても脳が老けない方法を解き明かす。

【91歳の医師が明かす】<br />認知症リスクを高める「眠れない」を解消する<br />“王道にして合理的な2つのルール”イラスト:chichols

6つのポイントで
認知症リスクを下げる

【前回】からの続き それでは、どうしたら睡眠障害を防いで、認知症リスクを下げられるのでしょうか? 6つのポイントを順番にお伝えしましょう。

①朝起きる時刻を決めて
 起きたら朝日を浴びる

「三本の矢」で知られる戦国時代の武将・毛利元もと就なりの日課は、「朝起きたら、朝日を拝み、念仏を10回唱える」ことだったそうです。さすがは知将で知られた毛利元就。念仏の部分はさておき、これは良質な眠りへと導く最良の選択です。

朝起きて朝日を浴びると、脳の体内時計がリセットされて1日24時間の正確なリズムを刻み始めます。そしてリセットされてから14~16時間後、眠りを誘うホルモンの「メラトニン」が分泌されて、安眠へといざなうのです。昔から「早寝早起き」といわれますが、実のところ「早起き早寝」が正解です。

何時に眠れるかは、その日の用事や体調などに左右されやすいですが、何時に起きるかは目覚まし時計で決められます。何時に寝ても、起きる時刻を固定するのがポイント。あとは体内時計の声に従いましょう。私自身は、毎朝6時半起床で夜12時就寝。これを医者になってから60年以上続けており、睡眠不足を感じたことはありません。

②日中はできるだけ
 アクティブに過ごす

ヒトのように日中活動する「昼行性動物」にとって「明るいうちは動きまわり、暗くなったら眠る」というのが自然の摂理です。この摂理とは別に、ヒトには「疲れたら眠る」というリズムもあります。

日中、何もしないで自宅にこもっていたら、脳も身体もほとんど使いません。それでは「疲れたら眠る」というリズムが働きにくくなるのは、あたり前です。脳と身体を使うことは、認知症予防の基本であり、睡眠障害を避けるためにも有効です。

その日の体調と相談しつつ、日中は努めてアクティブに過ごすように心がけましょう。【次回に続く】

※本稿は、『91歳の現役医師がやっている 一生ボケない習慣』より一部を抜粋・編集したものです。(文・監修/松原英多)