ヨーロッパの座席タイプ
ヨーロッパの座席車はおもに、オープンサロンとコンパートメントのふたつのタイプがある。オープンサロンとは、日本の新幹線や特急列車と同じように車両全体がひとつの空間となっていて、通路を挟んで両側に座席が配置されているタイプの車両。座席は向かい合わせの場合や一方向にレイアウトされたものなどがある。一方、コンパートメントは、日本ではあまり見かけないタイプのもので、車両の片側が通路になっていて、片側がいくつかの個室に分かれているタイプ。各部屋に座席が設けられている。
オープンサロンの車内
オープンサロンの座席車は、1等車と2等車とで車両の座席数が異なる。4人向かい合わせの席の場合、固定式のテーブルが設置されていることもある。基本的には座席の向きは固定されており、利用者自身で向きを変えることはできない。通常のオープンサロンの車両であれば、1等なら通路を挟んで片側1人、片側2人、2等ならば両側2人ずつの配置となっていることが多い。2等座席と比べて、1等座席は多少ワイドで、ひじ掛けもゆったりとして大きく、個々の座席にパソコン用の電源プラグが設置されていることもある。イタリアの高速列車フレッチャロッサに編成される特等にあたる「エクゼクティブ」やチェコ鉄道(ČD)の高速列車・レイルジェットの「ビジネスクラス」には、通路を挟んで1人掛けずつの座席となっている。
座席の広さについては、2等座席の場合、飛行機のエコノミークラスよりは広いが、フランスの高速列車TGVや国際高速列車タリス、イタリアの高速列車イタロなど、TGV系の高速列車は比較的狭く、ドイツのICE系の高速列車やスウェーデンのSJ2000などは、ゆとりのある座席となる。ヨーロッパの鉄道も近年LCC的な格安料金の鉄道会社が増えつつあるが、これらの会社が運行する列車の2等座席は狭い。
ひと口メモ:オープンサロンの座席の向き
日本の新幹線や特急列車のように、座席は必ずしも進行方向に向いている訳ではない。座っている方向とは逆向きに進行する場合も多くある。近年では、フランスのTGVの新型車両(TGV Oceane)やスペインのAVE(S103)は、日本と同じように進行方向に座席が向いている車両も登場しているが、まだまだ少数派である。