リスクやポテンシャルを
今までと違う視点で見定める
坪井 課題はたくさんあります。そもそも、従業員が一律ではなくなってきていますので、例えば「ジェネレーションギャップ」もかなりあるでしょう。
人口ピラミッドも世代的に上の方が多かったり、若い世代ほど新しいシステムに順応しやすいけれども、一定の年齢になったときに、その人たちの「リスキリング」をどうしていくのか。こうした課題があると思います。
ただ当グループは、40年ほど前に医薬へ参入したとき、営業部門が手を挙げてMR(Medical Representatives)に転向するというリスキルに成功した事例もあります。
小野 基本的には、「既存のビジネスモデルを変えたくない」という意識が働きます。例えば、われわれ化学産業はエッセンシャル産業ですので、安全、安定的に素材を提供する義務を負っています。その生産現場では、ドラスチックな変更などをなかなかしにくいのが実情です。
そのため、すべてに変革をもたらすというより、経営戦略上、「変わらないといけないところ」と「変えないところ」を意識しながら変革プロセスを進めています。
ただ、ポートフォリオを大きく変えようと動き出す中で、例えば医療機器系の事業、しかもグローバル企業を買収だとなった瞬間に、今までの人材マネジメントが一切通用しない世界に突入する。そういう変化に直面しますので、そうしたところから経営陣も含めて、リスクやポテンシャルを今までと違う視点で見定めようという議論が生まれました。
経済産業省 経済産業政策局産業人材課総括補佐、兼、大臣官房未来人材室所属。2011年、経済産業省入省。水素エネルギー政策、IT政策、地域・中小企業政策、知財・競争政策などを担当後、留学を経て、現職。
村瀬 面白いですね。やはりその点、省庁も変わらなければいけない点はありますか? 大学も同じですが、変わっていくところはたくさんあると思いますが、同時になかなか変えにくいところもあると思います。
萩谷惟史(以下、萩谷) 今の部署で日本型雇用システムについて議論する中で、個人的に強く感じることは、「日本型雇用システムの最も典型的なものは、実は霞が関(省庁)に残り続けているのが実態ではないか」ということです。
公務員の登用システムからみても、入り口をある程度は限定せざるを得ませんし、年功序列型の賃金制度あるいは登用制度というのが、引き続き残っている実態は色濃くあるなと思います。
この点、われわれ自身も変わらなければいけないと思っていますし、実際、中途採用の方々も増えていくなど、変化も出つつあると思います。