マンションを売るべきか考える上で
重要なポイントは…?

 さて、ご夫婦が家計支出を削減し、勤労収入を得て、預貯金が底を突くまでの時間を引き延ばすことができたら、ここで初めて自宅マンションの売却について考えてみましょう。

 現実的なお話になってしまい大変申し訳ないのですが、ここで判断のカギになるのは「これから数十年がたち、もしLさんご夫婦がお亡くなりになった場合に、2人の息子さんの住む場所があるかどうか」です。

 自宅マンションを売却すれば、確かに現預金を増やすことができます。家計収支を含めて、直近の経済面を立て直すことを考えれば、自宅マンションの売却は有力な選択肢になり得ると思います。

 ですが、賃貸物件に住み替えると、ただでさえ赤字の家計に家賃の負担が追加されます。今後しばらくは持ちこたえたとしても、さらにその先、30年~40年後を考えると、貯金がいよいよ厳しくなってくる可能性も否定できません。この場合、高齢になった2人の息子さんが、家賃を払いながら生活していけるでしょうか。

 これからLさんご夫婦が、今回の試算を上回るペースでお仕事を頑張り、2人の息子さんに十分な金融資産を残すことができるのであれば、賃貸に住み替えても大丈夫でしょう。

 しかし、もし金融資産を残すことが難しいのであれば、息子さんたちの将来を長いスパンで考えて「持ち家」を残しておくという選択肢もあり得るのではないでしょうか。

 だからこそ、当面の家計収支を改善するためにマンションを売却することが、本当に良いのかは判断が難しい状況です。

 せっかく相談を寄せてくれたLさんには申し訳ないのですが、節約・就業などの対策を講じていただき、家計収支をある程度改善した上でないと、今後の方針をアドバイスできかねるというのが、現時点での筆者の正直な回答です。

 また、現在の資産額(貯金額)や、想定されるマンションの資産価値についても、ある程度の金額が分かった方が今後の方策をスムーズに立てられます。

 繰り返しになりますが、現時点で助言できるのは「家計収支の見直し(節約など)をすぐにでも始めてください」ということに尽きます。

 もし可能であれば、改善した家計の状況や、マンション価格の概算値を記載した相談文を再度お寄せください。詳細を把握した上で、改めて詳しく回答したいと思います。またのご相談、お待ちしています。