誰しも悩みや不安は尽きない。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そんなときの助けになるのが、最新刊の感動小説『精神科医Tomyが教える 心の執着の手放し方』(ダイヤモンド社)だ。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。とても読みやすいオムニバス形式の8つのショートストーリーは、ふと心が落ち込んだとき、そっと心の執着を手放すための優しい言葉を授けてくれる。YouTube「精神科医Tomyの人生クリニック」の心がスッと軽くなる“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日がラクになる!
悩みに引きずられる“根本原因”
どうしても他人を許せないときってありますか? なにか理不尽なことや傷つくことをいわれたりして、どうにもこうにもムカつく。許せない気持ちが、ずっと頭から離れずにモヤモヤしてしまって、気分がどんより落ち込んでしまう。
なぜ、そんなふうに“負の感情”に引きずられてしまうのかというと、たいていの場合、アナタ自身が疲れているからなんです。調子が悪くて感情が落ち込んでるタイミングだから、負の感情や悩みを強く感じる。人生って、心配なことや困っていることを探せばキリがないのですが、ふだんはそのことを意識せずに過ごしているものです。
人間の脳というのは、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚という五感から常日頃、たくさんの情報を得ています。ネットなどから大量に情報があふれるいま、一説によると、現代人が1日に触れる情報量は江戸時代の1年分、平安時代の一生分ともいわれてます。
考えないようにするより
自分を癒やすことが大事
こうした情報をすべて頭のなかに入れると混乱したり、失敗したり、落ち着かないので、いらない情報は無意識にカットしています。しかし、嫌なことがあったりして疲れていると、元気なときは機能しているフィルターが働かなくなって、余計なノイズが入りやすくなるんです。
元気なときには、ある程度、カットできている負の感情も、疲れているときはカットできずに思い出してしまう。だから、負の感情に引きずられやすいんです。結論からいうと、考えないようにするのではなく、まずは体調を整えることを優先したほうがいいです。
いちばんいいのは、寝ること。すぐ寝られないようであれば、お風呂に入るとかストレッチをするとかヨガを試してみるとか、「自分の機嫌をとる」ことをやって、自分を癒やしてあげてください。疲れたままでは気持ちのコントロールは難しいからです。
気持ちがふさぎ込んだら
行動を切り替えてみる
まったく違う行動をしてみるというのもいいです。自分の好きな音楽を聴いたり、映画を観たりと、なんでもいいんです。行動を切り替えてあげると、それにともなって気持ちが変わります。
たとえば、受験生が頑張って勉強しているにもかかわらず、なかなか成績が上がらずに悩んでいるとします。これって、すぐには解決しない悩みですよね。この受験生が男子で、好きな女の子からLINEでメッセージが届いた。スマホを見てみると、なんと「○○君のことが好きです」と書いてあった。
その瞬間、成績が上がらずに悩んでいたことは、忘れてしまうはずです。成績の状況は変わったわけではなく、悩みとしては消えていないのですが、もう最高の気分で「やったーーー!」って、絶叫したいくらいかもしれません。
自分の機嫌をとるために
環境を見直すことも大事
逆に、好きな女の子からLINEもないし、成績も上がらない……。これだと、気分はふさぎ込みます。なにが違うかというと、本人の機嫌が良いか悪いかなんです。わかりやすく説明しましたが、自分の機嫌をとってあげることが、いかに大事かという例であって、これは多くの悩みに共通していることなんです。
許せない気持ちに引きづられているときは、自分が疲れていると捉えて、なるべく自分の機嫌をとり、心身の疲れを癒やす。仕事や家事が忙しければ、その環境を見直すことも大事です。いずれにしても、そっちの方向に意識を持って、いますぐにでも自分が楽しくなるような「行動」をとってみることをオススメします。
本稿は『精神科医Tomyが教える 心の執着の手放し方』(ダイヤモンド社)の著者が日々お届けする“心のサプリメント”です。