ニュースで見聞きした国、W杯やオリンピックの出場国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。
ラオスってどんな国?
ラオスは、インドシナ半島中央部の内陸国で、タイ、ミャンマー、中国、ベトナム、カンボジアと国境を接します。国土の大部分は山地であり、西部タイ国境をメコン川が南北に流れています。
1899年にフランス領インドシナに編入され、第二次世界大戦後にフランス連合内のラオス王国として独立、1953年に完全独立を果たしました。
その後、左派・右派対立による内戦が繰り返され、1975年に王政を廃して人民革命党による一党独裁体制の社会主義国家・ラオス人民民主共和国が成立し現在に至ります。
水力発電によるエネルギー輸出立国
産業の中心は農業で就業人口の約70%を占めますが、山がちな国土のために経営規模が小さく、米作を中心とした自給的農業が一般的です。主要な輸出品目は、電力と金鉱石、銅などの鉱産資源です。
とりわけ電気は輸出額第1位で、全体の約23%を占めます(2019年)。山岳を縦断するメコン川と多数の支流河川の水力発電ポテンシャルは約2.6万メガワットともいわれています。
初期の開発は国外からの援助を得て、国の直轄事業として実施されましたが、1990年代からは民間の独立発電事業者が施設を建設・運営し、資金回収後に国に譲渡する方式が主流です。
国内の発電所は73ヵ所、年間約500億kWの発電能力があります(2019年)。電力は約80%をタイに輸出し、近年経済発展が著しいベトナムへの輸出も増えています。
ラオス人民民主共和国
面積:23.7万km2 首都:ビエンチャン
人口:757.4万 通貨:キープ
言語:ラオス語(公用語)、フランス語、英語
宗教:仏教64.7%、無宗教31.4%
隣接:タイ、ミャンマー、中国、ベトナム、カンボジア
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)