日本が「ロシア化」する?
藤巻健史 著
定価1100円
つまり、外資が日銀当座預金口座を閉鎖するということは、円がドルを基軸通貨とする体制から切り離されるということに他ならないのです。
これは、2022年3月にロシアに対して行われた「スウィフト(国際銀行間通信協会)からの排除」や、外資準備の凍結などと同じことです。これらの措置により、ロシアの通貨ルーブルの価値は一時半減しました。2月上旬に1ドル75ルーブルだったものが、3月7日には150ルーブルまで急落したのです。
しかし、その後ルーブルは1ドル60ルーブル台にまで持ち直しています。これは、ロシアが原油をはじめとした豊富な資源を持つ国で、その決済をルーブルにすることを強いたからこそだと思います。
そうした資源を持たない円がドルとのリンクを外されたら、誰が円を保有しておきたいと思うでしょうか。円は世界のローカル通貨化し、誰も円と交換にドルを売ってくれなくなってしまうでしょう。
そしてこの「外資系金融機関の日銀当座預金口座の閉鎖」は、ある日突然、何の予告もなしに起こると考えられます。最初に逃げだしたところが、一番損が少なくなるからです。なので、ギリギリまで秘密にするでしょう。
そして、ある一行が撤退という判断を下したら、他の外資も即座に追随するでしょう。
あるいは、格付け機関のうちどれか一つが日本の格付けを一気に下げることが、その引き金になるかもしれません。どちらにしても、その日は突然訪れます。