「女性による取引先の接待」に対する認識のズレ

 そこに加えて、この問題がややこしいのは、そういう「混浴接待」をされて、ご満悦になる取引先、そして外国人VIPというのも確かに存在しているということだ。

 実は、日本の「ピンクコンパニオン宴会」の画像が、海外のサイトで「日本企業の宴会はすごい」などと誤った情報として紹介されてしまうことがよくある。また、世界中に日本人が関わっていないインチキ臭い「Sushi」の店があるが、その中には「日本の伝統」として、いわゆる「女体盛り」を提供するようなケースも報告されている。

 この背景には、「キル・ビル」などのハリウッド映画の日本の描写で、「女体盛り」や着物がはだけた「ゲイシャ」がよく登場をすることがある。もちろん、それがエンタメ的なフィクションだと理解している人もいるが、中には「日本に行けばゲイシャが性接待してくれる」と誤解をしている外国人も少なからず存在しているのだ。

 外国人と日本人の間でも、こういう絶望的な認識のズレがあるが、日本人同士でも「取引先の接待に女性を呼ぶ」ということには業種や業界によってさまざまな意見がある。

 建設業界やインフラ系企業などでは、「今時、女性社員に接待もさせられないので、接待のプロの女性を呼ぶのは当然だ」という意見も多いだろう。中には、コンパニオンどころか、ピンクコンパニオン宴会で、大口の契約をもぎとったという人もいらっしゃるだろう。また、その逆に業種によっては、「そもそも、互いに必要だから契約を交わすので、接待なんて必要ないだろ」という意見もあるだろう。

 なぜこんなカオスなことになってしまったのかというと、2022年のジェンダー・ギャップ指数が146カ国中116位という日本では、この手の「女性による取引先の接待」というのは真正面から議論されず、建前と本音を使い分けて“なあなあ”でここまできてしまったからだ。

“なあなあ”ということは明確なルールがないということなので、場合によってはセーフになるし、状況が変わればアウトになるという「ダブルスタンダード」が横行する。

 例えば、「ジェンダー平等」を掲げて、女性社員を隣に座らせてお酌をさせるような接待は「厳禁」としながらも、「プロの女性」の場合は「ジェンダー平等」に含まれないということで、ホステスやコンパニオンには、お色気的な接待を求めるという、「ダブルスタンダード」だ。