●「簡単な仕事」と
「難易度が高い(育成が必要)仕事」に切り分け

 簡単な仕事であれば、採用後すぐに活躍してもらうことも可能。シニア・主婦・ダブルワーク希望者といった潜在労働力を活用するなど、柔軟なシフト作りを行う。難易度が高い仕事は、動画マニュアルを用意するなどして、短時間での育成を図る。

 また、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」も、人材不足の課題解決を実現する重要なキーワードです。

【ケース2】DXで人手不足を解決・サービス向上
株式会社まんてん

 コロナ禍において、飲食業界では対面接客を減らすため、「モバイルオーダー」などのデジタル化が進みました。これにより成果を挙げているのが、「炭火焼ホルモン まんてん 中目黒高架店」です。

<課題>

 コロナ禍で従業員の拡充が難しい(必要人数5名、当時3名が働いている状況)。店内席とテラス席を設けているが、オーダーが重なると接客時間が確保できない。特にテラス席の対応が難しくなり、クレームが発生。追加オーダーをあきらめるお客様も。

<改善策>

 デジタルツールであるオーダーシステム『Airレジ オーダー』を導入。オーダー時の操作が簡単かつミスが発生しにくいことに加え、お客様自身のスマホからのオーダーも可能に。

<成果>

 クレームカウント対象である、お客様から店員を呼ぶ2回目の「すいません」が減少。メニューの説明や、肉を良い状態に焼くなどの対応をする余裕が生まれ、サービスの質が向上。従業員は、お客様から何度も呼ばれるストレスから解消され、サービス提供に集中できることにより、達成感・成長感が持てた。システム導入により削減できた人件費は従業員に還元。従業員満足度(EX)の向上にもつながっている。

 従業員が「やりたい仕事ができない」ことに不満を抱くと離職につながります。デジタルツールも活用し、「本来やりたい仕事」に取り組める時間を生めるような労働環境を作れば、満足度も高まるでしょう。

「自分らしい働き方」を提供し、
適切な人員配置を

 年末年始の繁忙期を乗り切っても、人材確保の難易度は今後も高まっていくと見込まれます。「週 5 日・フルタイム勤務可能な人」「多様な業務を担える人」に期待していても、人材は充足しません。「現在の業務を可視化する」「質と量を切り分けて考える」「従業員の頭数ではなく時間単位で捉える」――これらの実践により、人員を適切に配置する考えに切り替えていく必要があるといえるでしょう。

 家事・育児・介護・学業などの活動と仕事を両立させたい人、限られた時間を活用して働きたい人など、求職者のニーズは多様化しています。そのニーズに応え、「自分らしい働き方」「働くやりがい・喜び」を提供できるように変革していくことが、人材獲得のために重要であると考えます。