JERA写真提供:JERA

東京電力グループと中部電力の合弁会社で、両社の燃料調達・火力発電を担う「JERA(ジェラ)」のトップ人事に注目が集まっている。中部電力出身の現社長が就任から丸4年を迎える来春にも交代がうわさされる。電力業界で急成長を遂げるJERAの次期社長の有力候補の実名を明らかにするとともに、次期社長レースの行方を占う。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

現社長の小野田氏は
前社長満期と同じ就任4年目

 群雄割拠の電力業界にあって、唯一無二の存在だと業界内で認識されているのが燃料調達・火力発電会社「JERA(ジェラ)」である。

 同社は、東京電力ホールディングス(HD)の完全子会社である東京電力フュエル&パワーと中部電力が50%ずつ出資している非上場企業だ。

 液化天然ガス(LNG)の取扱量は世界最大級であり、トレーディングを中心に急成長している。日本最大の発電会社でもある。2023年3月期第2四半期には総資産が12兆円を超え、業界トップの東電HDに肉薄する規模にまで達した。

 15年に発足したJERAの社長は2代続けて中部電出身だ。初代社長で前社長の垣見祐二氏は、JERAが19年に東電グループ・中部電の火力発電資産を承継したタイミングで、現社長の小野田聡氏(67歳)にバトンタッチをしている。

 垣見氏の社長在任は4年間だった。新しい会社故に慣例はあってないようなものの、小野田氏も今期で社長に就いてから丸4年となり、次期社長レースの行方に俄然注目が集まっている。

 大手電力2社の上流部門をまとめ世界で戦えるまでに急成長を遂げたJERAは近い将来のIPO(新規株式公開)が予想される。次期社長は東京証券取引所で鐘を鳴らす人物となる可能性がある。

 次ページでは、次期社長の有力候補として「本命」と「対抗馬」の2人の実名を示す。また、東電グループと中部電の対等出資のJERAは設立後に「ある取り決め」を両者間で結んでいる。社長レースに影響を与えかねない、その「取り決め」とは。