誰しも悩みや不安は尽きない。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そんなときの助けになるのが、『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』から生まれた小説『精神科医Tomyが教える 心の執着の手放し方』(ダイヤモンド社)だ。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。とても読みやすいオムニバス形式の短編集は、アナタの心が落ち込んだとき、そっと優しい言葉を授けてくれるvoicy「精神科医Tomy きょうのひとこと」“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日がラクになる!

【精神科医が教える】「コスパ」も「タイパ」も悪い…“損切りできない人”の起死回生の解決策

実はコスパもタイパも悪いこと

「使わないともったいない」と思うことがありませんか? アテクシは、VoicyYouTubeの収録でスマホを使っているのですが、音質をよくしようと別売りのマイクを使ってみたんです。せっかくだからマイクを使わないともったいないと思ったんですね。そうしたら、逆に音質が低下してしまったんです。

このとき、せっかくだから使わないともったいないと思ったら、余計にもったいない状態になるということが、ままあるなと思ったわけです。

ふり返ってみると、ホテルに宿泊したときも、同じ経験をしました。そのホテルに忘れものをしてしまったんです。もったいないからと、わざわざ交通費と手間暇をかけてホテルにとりに戻ったんです。でも、よくよく考えたら、数百円程度のたいしたものではないし、「コスパ」も「タイパ」(時間のコスパ)も、著しく悪いわけです。

「損して得とれ」の真逆をいく

そういえば、お正月に福袋を買ってみたところ、全然着なさそうな服が入っていたんです。処分すればいいんですけど、使わないともったいないと思って、わざわざその洋服に合いそうな別の洋服を買って、なかば無理やり着こなそうとしたんです。そうしたら、着てみるとぜんぜん暖かくもなく、しまいに風邪気味になってしまいました。

これもよくよく考えてみると、なにやってんだろって話ですよね。使わないともったいないと思うより、必要としてくれるほかの人にあげたり、あるいは思い切って処分したほうが、よほどもったいなくないケースが、わりとあるんですね。「損して得とれ」ではなく「得しようと思って損する」ことが、けっこうあるということです。

ときに“損切り”することも大事

結局、目の前の損得にだけ目がいってしまうと、全体の損得がないがしろになることがあるんです。だから、何事もそうですが、広い視点をもつこと。そして、その広い視点から損得を考えることが、けっこうできていないことが多いんですね。

いわれてみれば、当たり前のことなのに、実際はできていないことは多いです。目の前の小さなことに囚われてしまうと、ストレスがたまりやすくなるともいえます。なにごとも全体を俯瞰して、トータルとして納得をすること。そして、場合によっては、ポジティブに損切りして、物事を捨てることも大事なんです。

本稿は『精神科医Tomyが教える 心の執着の手放し方』(ダイヤモンド社)の著者が日々お届けする“心のサプリメント”です。