ニュースで見聞きした国、W杯やオリンピックの出場国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。

「プエルトリコはどんなところ?」2分で学ぶ国際社会Photo: Adobe Stock

プエルトリコってどんなところ?

 プエルトリコはカリブ海の北東部、ドミニカ共和国の東に位置する島です。

 カリブ海地域ではいまだに独立をしていない島々があります。それらの多くは小さな島で、人口も少なく、目立った産業もないという共通性があります。その中で、プエルトリコは例外で、最も早く植民が進んだ島の一つです。当初は金の採掘が行われていましたが、その後はスペイン系の植民地としては珍しい定住型の農業植民地になりました。

 1898年に起きた米西戦争の結果、アメリカ合衆国に割譲され、以降アメリカ合衆国の領土になり、多くのアメリカの企業が進出しました。住民はスペイン系の白人、黒人、そして先住民もいますが混血が進んでいるのが特徴です。ただ言語はスペイン語で英語はあまり使われません。

 住民はアメリカ国籍を持ちますが、連邦所得税は免除されています。しかし大統領の選出権はなく、上院にも当然議席はありません。下院に議決権を持たない代表1人を送るのみです。

 プエルトリコは、豊かな美しい港という意味ですが、現実はたいへん厳しいです。貧富の差は激しく、住民の多くは貧困者です。州の財政も厳しく、2017年には連邦地裁に破産申請行いました。その債務は700億ドルともいわれています。

「プエルトリコはどんなところ?」2分で学ぶ国際社会カリブ海の国々

プエルトリコ

面積:0.9万km2 首都:サンフアン
人口:314.3万 通貨:米ドル
言語:スペイン語、英語
宗教:カトリック85%、プロテスタントとその他15%

(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照

(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)