ニュースで見聞きした国、W杯やオリンピックの出場国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。
チャドってどんな国?
チャドはアフリカ大陸の中央部に位置し、リビア、スーダン、中央アフリカ、カメルーン、ナイジェリア、ニジェールに囲まれる内陸国です。
国名の由来はチャド湖で、現地のことばで「大きな水域」という意味です。1960年代前半には面積が約2.5万km2あったのが、現在ではその15分の1ほどの1500km2に縮小し、消滅の危機にあるといわれています。水深は最深でも3mと、たいへん浅い湖です。
チャド湖周辺はサハラ砂漠南部の乾燥地域にあたり、水が蒸発しやすいうえ、湖に流入する河川の水量は大きく変化します。1970年代の干ばつによって湖は小さくなり、北と南の2つに分かれました。化石の分析などから、過去千年間で6回干上がったことがあるそうです。
最近の縮小は、灌漑農業の進展や過放牧という人為的な原因によるものです。チャド湖は4つの国にまたがっており、水の管理は容易ではありません。
国土の大部分は盆地で、北部はサハラ砂漠、南部はサバンナとなっています。北部のリビア国境付近は高原が広がり、サハラ砂漠最高峰のエミクシ山(3415m)があります。
首都ンジャメナはチャド湖近くに位置し、2つの川の合流点にフランスによって建設されました。人口100万人を優に超える大都市です。南部の油田からは、隣国カメルーンを経由してギニア湾に続くパイプラインが延びていて、輸出の7割以上を原油に依存しています。
チャド共和国
面積:128.4万km2 首都:ンジャメナ
人口:1741.4万 通貨:CFAフラン
言語:フランス語(公用語)、アラビア語(公用語)、サラ語などの民族語
宗教:イスラーム52.1%、プロテスタント23.9%、カトリック20%
隣接:リビア、スーダン、中央アフリカ、カメルーン、ナイジェリア、ニジェール
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)