「子どもには、少しでも体によいものを食べさせたい!」ですよね。
でも、ごはんは毎日のこと。なるべくシンプルで簡単に済ませたいものです。
この連載では、『医師が教える 子どもの食事 50の基本』の著者で、赤坂ファミリークリニックの院長であり、東京大学医学部附属病院の小児科医でもある伊藤明子先生が、最新の医学データをもとに「子どもが食べるべきもの、避けるべきもの」をご紹介します。
不確かなネット情報ではなく、医学データと膨大な臨床経験から、本当に子どもの体と脳によい食事がわかります。毎日の食卓にすぐに取り入れられるヒントが満載です。
※食物アレルギーのある方は必ず医師に相談してください。
白米・玄米・雑穀米のうち、一番のおすすめは?
ずばり雑穀米です。
雑穀とは、きび、あわ、ひえなどのこと。食物繊維が豊富に含まれています。
白米の食物繊維は1.5g(炊いたごはん100gあたり)です。一方雑穀の一種であるあわ、ひえ、あずきは、
●あわの食物繊維 3.3g
●ひえの食物繊維 4.3g
●あずき(全粒)の食物繊維 12.1g
と白米よりも豊富です[*26]。
食物繊維が豊富な雑穀を、米に混ぜて食べることをおすすめします。
「健康によい米」と聞くと玄米をイメージする人は多いでしょう。玄米は白米よりもミネラルは多く含まれますが、食物繊維の量は変わりません。玄米はヒ素や農薬が残っていることも多いので、玄米のみで食べるよりも、雑穀を白米に混ぜて食べるほうがよさそうです。
雑穀は、買い求めやすいパック商品でOK
「十六穀」という言葉を聞いたことはありませんか?
これは大麦、きび、あわ、ひえ、キヌア、アマランサスなどの穀類と豆類、合わせて16種類が入っているもの。小分けパックになった商品がスーパーで手軽に手に入ります。ネットやお店によっては「三十穀」などもあります。
入手しやすさ、予算などお好みで選んでくださいね。
食物繊維は子どもも大人も不足中!
日本人の食品・栄養摂取のデータによると、子どもから高齢者まで、ほぼすべての年齢層で食物繊維の摂取量が、国が推奨する量に足りていません[*27]。これは、食の欧米化と加工食品が増えたことで、日常の食卓から食物繊維を含む食材が減ってしまったことが背景にあります。
のりなどの海藻類、根菜の煮ものといった一汁三菜風をイメージして、小鉢のおかずをプラスすることをおすすめします。
一生懸命ヨーグルトを食べる前に大事なこと
免疫力アップや便秘対策のために、腸活としてヨーグルトや乳酸菌飲料、乳酸菌食品で善玉菌を摂る人が増えています。
しかし、せっかくおなかに入れた善玉菌も、いわば善玉菌のエサである食物繊維がなければ、意味がありません。エサがない状態だと、善玉菌たちが腸で活躍することなく枯渇してしまうのです。
ですから、まずは食物繊維をしっかり摂ること。すると善玉菌が活性化し、善玉菌が作る短鎖脂肪酸(たんさしぼうさん)という物質が増えます。この短鎖脂肪酸のおかげで、私たちの腸の蠕動(ぜんどう)運動が活発になり、腸の粘膜から鉄やカルシウムなども吸収されるのです[*28]。
このほかにも『医師が教える 子どもの食事 50の基本』では、子どもの脳と体に最高の食べ方、最悪の食べ方をわかりやすく紹介しています。
(本原稿は伊藤明子著『医師が教える 子どもの食事 50の基本』から一部抜粋・改変したものです)
*27 厚生労働省. 令和元年国民健康・栄養調査報告.
*28 Frost G, et al. The short-chain fatty acid acetate reduces appetite via a central homeostatic mechanism. Nat Commun. 2014; 5:3611.