常に集中力をキープするポイントとは?

──丸1日仕事をしていると、集中力がとぎれて生産性が落ちてしまうことがあります。
 猿渡さんは、具体的にはどのような対策をしていますか?
 経営者として、複数のプロジェクトを同時進行で進めなければならない場面も多いと思いますが。

猿渡:むしろ、「1つの作業に集中しすぎない」ことが重要です。

 やりたいことが多すぎる私のような人間にとっては、1つの作業に集中するより、複数の仕事を同時に取り組むほうが、パフォーマンスが上がります。

──朝はこの作業、昼はこの作業、というように、別の種類の仕事に取り組んだほうが効率的だと。

猿渡:1つの仕事だけに取り組むべきタイミングもありますし、それが向いている人もいると思います。ただ、私にとっては、「脳を飽きさせないこと」も集中力キープのカギです。

 私の場合、採用面接、経営会議、新製品についての会議など予定がギッシリ詰まっており、常に頭を切り替えながら、複数のプロジェクトを進めています。

 確かにいろいろなことを考える必要があるので脳疲労は大きいですが、特定のテーマだけをやるよりは、それぞれの会議で新鮮さがあるので、すべて集中力高くやれていると思います。

──そうなんですね! 意外でした。

猿渡:たとえば、受験勉強を例に挙げると、丸1日ずっと単語帳を暗記し続けていたら飽きてきますよね。

──たしかに。夕方になる頃には脳がクタクタになります。

猿渡:「集中力がない」という悩みがある人は、一度、「長時間1つの作業をやり続けること自体が目的化していないか」、自問自答してみるといいかもしれません。

「3つの時間」をうまく切り替えよう

──頭を切り替えるためには、どんなことをやっていますか?

猿渡:大きく分けると、次の3つの時間を使い分けています。

・成果を出すための「アウトプットの時間」
・情報収集や読書など「インプットの時間」
・ジムでの運動や休憩など「リラックスの時間」

 アウトプットばかりで効率が落ちてきたなと思ったら、インプットの時間に切り替えたり、思い切って休憩を挟んだりしてみるのです。

「サボっちゃいけない」という意識が強く、「頑張った感」にひたりやすい人は、1日のすべてを「アウトプットの時間」に費やしていたりします。

 一方、成果を出せる人は、「インプットの時間」や「リラックスの時間」もバランスよく配置し、手を抜けるところは抜いています。

──インプットの重要性については、書籍の中でも丁寧に解説されていました。

猿渡:そうですね。『1位思考』では、

アウトプットの質=インプット×地頭力

 と定義しています。

 人は、自分の知識以上のバリューは出せないので、インプットが乏しければ、どれだけ時間をかけても質の高いアウトプットはできません。

 インプットの時間を増やすことが、中長期での生産性の向上につながります。

 仕事のミッションとバリューはしっかり意識しつつも、「適度にサボる」ことを習慣化できると「仕事ができる人」になる近道だと思います。

(本稿は『1位思考』に掲載されたものをベースに、本には掲載できなかったノウハウを著者インタビューをもとに再構成したものです)