頻度の高い症状は、倦怠感、抑うつ、ブレインフォグ、頭痛など

 解析対象は、2020年1月6日~2021年10月2日に都内の外来診療所(ヒラハタクリニック)を受診したlong COVID患者のうち、COVID-19発症から28日以上経過後に持続、または発症した症状のある1,898人から、解析に必要なデータが欠落していた7人を除外した1,891人。平均年齢は37.8±12.2歳で、女性が59.7%を占め、受診の時期は、パンデミック第1波が1.8%、2波が5.9%、3波が41.8%、4波が18.2%、5波が32.2%。ワクチン接種が完了しているのは3.1%だった。

 Long COVIDの症状による日常生活動作への影響を、パフォーマンスステータス(PS)スコアという10点満点の指標で評価すると、平均3.1±2.4点だった。なおPSは、日常生活への影響が全くない場合は0点、終日臥床し全介助状態のいわゆる”寝たきり”の場合は10点と判定する。平均点に近い3点は、症状のために仕事を月に数日休む必要がある状態に当たる。実際、解析対象者のうち罹患前と同様に就労しているのは23.7%に過ぎず、14.2%は勤務時間を短縮して就労していて、20.9%は休職中か退職・解雇後だった(そのほか、8.3%は非就労、32.8%は不明)。

 訴える症状の数は平均8.4±3.2種類であり、頻度の高い症状は、倦怠感(90.3%)、抑うつ(81.2%)、ブレインフォグ〔頭がぼんやりして記憶力などが低下した状態(76.2%)〕、頭痛(71.2%)、呼吸困難(68.9%)、不眠症(63.8%)、動悸(61.7%)、体の痛み(60.6%)、嗅覚障害(52.4%)、食欲不振(50.6%)、味覚障害(45.2%)、脱毛(44.8%)などだった。

 PSスコアが6点(週の50%以上を休息している場合)以上をPSが特に低下した状態と定義すると、24.0%が該当。年齢や性別、受診時期(パンデミック第何波に当たるか)、ワクチン接種状況、就労状況などを調整後に、PS6点以上であることと関連する因子を検討すると、女性〔β=0.27(95%信頼区間0.08~0.47)〕、時短勤務者〔通常勤務者を基準にβ=1.59(95%信頼区間1.27~1.91)〕、休職中または退職・解雇後〔同3.64(3.35~3.93)〕、非就労〔同1.67(1.22~2.21)〕が有意な関連因子として抽出された。

 発現している症状も調整因子に加えた場合、多くの個々の症状が有意な因子として抽出され(倦怠感β=1.11、抑うつβ=0.47など)、女性については有意性が消失した。ただし前記の就労状況に関する三つの状態は全て、引き続きPSが低いことと有意な関連が認められた。

 著者らは、「女性はlong COVID罹患時にPSが低下しやすいことが示唆され、就労状況とPSとの有意な関連も認められた」と結論を述べるとともに、「日本のlong COVID患者の特徴の全体像を把握するためには、さらなる研究が必要」としている。(HealthDay News 2023年1月10日)

Abstract/Full Text

Copyright © 2022 HealthDay. All rights reserved.