誰しも悩みや不安は尽きない。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そんなときの助けになるのが、『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』から生まれた『精神科医Tomyが教える 心の執着の手放し方』(ダイヤモンド社)だ。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。心が落ち込んだとき、そっと優しい言葉を授けてくれるvoicy「精神科医Tomy きょうのひとこと」の“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日がラクになる!

【精神科医が教える】<br />身近な人がうつ病に…そのときアナタはどう対処すべきか?

2倍以上に増加するうつ病

日本では、うつ病の有病率が2013年の7.9%から2020年には17.3%と2倍以上増加しています(OECD調べ)。家族や職場の同僚、友人や知人といった身近な人がうつ病になるケースも、それだけ増えているということです。

ひと言で「うつ病」といっても、その症状や背景は人によってバラバラなので、みな同じように対処できるかというと、そうではありません。仕事や勉強を頑張りすぎて頭が働かなくこともあれば、とくにそういうこともなく、急に動けなくなってしまうこともあるのです。それなのに、「うつ病」をひと括りにしてしまいがちなのです。

もし自分が「うつ病かな」と思ったら、自己判断をしないことが大切です。総合病院の精神科や心療内科、精神科のクリニックなどに相談しましょう。内科などのかかりつけの医師に相談したり、保健所や精神保健福祉センターの相談窓口を利用することもできます。これは厚生労働省のホームページでも指南されています。

できるだけ一緒に受診してあげて

家族がうつ病かなと思ったら、なるべく早い段階で、一緒に受診してあげてください。そして、患者さん本人とともに主治医とやり取りして、情報を共有するのです。実際、心配する家族と一緒に受診する患者さんは多いです。主治医の立場からすると、最初の段階から家族が一枚岩になって患者さんの情報を共有しながら、快方に向かうのが理想的です。

一方、「家族に心配をかけたくないから」と、なんとか自分だけで解決しようとして、家族には内緒で受診する患者さんも少なくありません。その場合は、患者さんの思いを尊重しつつも、どこかの段階で家族に打ち明けたほうがいいです。うつ病というのは、外傷のように明確に目に見えるものではなく、家族の協力が大切になるからです。

患者さんの話や状況をいろいろと聞きながら、うつ病と診断する人も入れば、うつ病ではあるけれど典型的なうつ病とはちょっと違ったり、発達障害がベースにあって二次的にうつ病が発症していたり、統合失調症、双極性障害、不安障害などとの共通点が見られるケースもあるなど、患者さんによって実にさまざまです。

うつ病の人に言ってはいけない言葉?

主治医は、それらを総合的に加味したうえで治療方針に立てているのです。うつ病の患者さんには、「頑張って」「元気を出して」などと言ってはいけないと聞いたことがあるかもしれませんが、臨床的にそうかというと、必ずしもそうではありません。やはり患者さんによって異なるわけです。

たとえば「頑張らなくていいんだよ」という言葉が救いになる人もいれば、存在意義を否定されたように感じて逆効果になる人だっているのです。こうしたことは、本人の性格や置かれた状況を個別具体的に踏まえることが大切ですし、その患者さんの治り方のステージにもよります。

だから、残念ながら教科書的に画一化された対処法というのはないともいえますが、それを知っているのが主治医です。だからこそ、本人に家族が同行して、主治医のアドバイスを共有したほうがいいのです。うつ病の治療は長期にわたるものなので、本人も家族もあせらずに長い目で治療に携わっていくというスタンスが大前提になります。

本人の状態を最優先してあげて

家族であれば受診に同行しやすいですが、これが会社の同僚や友人・知人となると、ちょっと話は違ってきます。実際、こうしたケースで一緒に受診するのは、多くありません。

そこで、どうするべきかというと、患者さん本人の状態を最優先してあげてください。話を聞いてあげたほうが楽になりそうな雰囲気であれば、本人の話を聞いてあげてみるのもいいでしょう。逆に、そっとしておいてほしいようであれば、そのままそっとしておいてあげてください。

いずれにしても、優しく穏やかに対応してあげていれば、ほぼ問題ないかと思います。症状がよくなったり悪化したりしますが、そのたびに右往左往してしまうと、本人も動揺してしまいますから、穏やかにちょっとずつ前進するスタンスで見守ってあげることです。

本稿は『精神科医Tomyが教える 心の執着の手放し方』(ダイヤモンド社)の著者が日々お届けする“心のサプリメント”です。