昨年に続いて2023年の中学受験者数は過去最高を記録。中学受験の競争は激化の一途を辿っている。東京・吉祥寺を中心に都内に展開する進学塾VAMOSは、「入塾テストなし・先着順」で生徒を選抜せず、「普通の子ども」を有名難関中学に続々合格させると話題の塾だ。VAMOS代表を務め、『ひとりっ子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)の著者である富永雄輔氏は、「偏差値だけでなく、子どもの特徴や家庭の方針にあった志望校選びが極めて大事だ」と強調する。
自ら多くの学校に訪問し、中高一貫校の最新事情に明るい富永氏に、近年注目度が上がっている進学校について話を聞いた。本記事では、聖光学院、攻玉社を取り上げ、富永氏独自の視点から、各学校の魅力と人気の理由に迫る。

人気も偏差値も急上昇の聖光学院と攻玉社、親が男子中高一貫校に求める1つの条件とは?Photo: Adobe Stock

注目の進学校(1):聖光学院

 聖光学院(以下、聖光)はJR根岸線の山手駅から徒歩約8分の距離に立地する横浜市の中高一貫の男子校です。ミュージシャンの小田和正さんや宇宙飛行士の大西卓哉さん、東京オリンピックに出場した荒川龍太さんなど、様々なフィールドで活躍する卒業生を輩出していることでも有名です。

圧倒的な進学実績と面倒見の良さ

 聖光は、近年最も進学実績が伸びている学校の一つです。

 元々、学業に熱心に力を入れる進学校でしたが、最近では飛び抜けた進学実績を出すことはもはや当たり前のようになっていて、2021年と2022年は「卒業生の約3人に1人が現役で東大」に受かる首都圏トップクラスの進学校になりました。

 一般的に、男子の難関進学校には、自由な校風を掲げ、勉強は生徒の自主性に任せている学校が多いです。一方で聖光は、生徒の自主性を尊重しつつも、塾に通う必要がないほど学業の面倒を見てくれる学校です。

 カトリックの学校という背景もあって、しっかりと規律が重んじられ、試験の点数だけ良ければいいというわけではなく、カトリックの教えに基づく情操教育にも力を入れており、そのような「面倒見の良さ」が保護者からの人気の高さにつながっています。神奈川県内だけでなく、都内から通学する生徒も少なくありません。

聖光塾と呼ばれる体験型教育

 聖光の教育の特徴は、聖光塾と呼ばれる体験型教育プログラムです。アートやプログラミング、大自然と触れ合うフィッシング(釣り)、医療機関の見学など、通常の授業では得ることができない豊かな教育機会が提供されています。

 その他の聖光の大きな特徴は、公認団体と呼ばれる同好会の活動(ジャグリング、マジック、クイズ、ダンス、数学、英語劇、かるたなど)が盛んなことです。生徒たちが自ら先輩や指導者を呼んできて自主的に活動している団体や、部活とは別に期間限定で活動する団体などがあります。

 既存の部活以外にも新しい活動を認めていたり、部活との関わり方に柔軟性を持たせているという意味で、非常に面白い学校だと思ってます。

面倒見の良さと自主性のバランスが優れている

 カトリックの教えを基盤に伝統を重んじる面倒見のいい校風でありながら、時代にあわせた新しい教育を展開している学校です。もちろん自由や自主性は大事ですが、小学生から中学生になったばかりの子どもは右も左もわからないし、特に男の子は幼い面があるので、親にとっては「この学校に任せれば大丈夫」という安心感は重要だと思います。

 聖光学院は、面倒見の良さと自主性のバランスをうまく保ちながら、しっかりと進学実績を上げている稀な例だと思います。