開成、麻布、桜蔭、雙葉、筑駒、渋幕……東京・吉祥寺を中心に都内に展開する進学塾VAMOSは、「入塾テストなし・先着順」で生徒を選抜しないが、「普通の子ども」を有名難関校に続々と合格させると話題の塾だ。子どもの特徴を最大限に生かして学力を伸ばす「ロジカルで科学的な学習法」が、圧倒的な支持を集めている。本稿では、VAMOSの代表である富永雄輔氏の最新刊『ひとりっ子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)から、特別に一部を抜粋して紹介する。

子どもの考える力を伸ばすために家庭でできる1つのことPhoto: Adobe Stock

漫画から政治や経済のネタまでさまざまな話をする

 兄弟姉妹がいないひとりっ子は、親の影響をもろに受けます。もっぱら親が与えてくれる情報によって、ものを考えるようになります。だから、親がどういう世界観を示すかがとても重要です。

 はっきり言って、長く生きてきた親の世界観は、もうかなりの部分ができあがっているでしょう。それがとても広く豊かなものであればいいのですが、そうとは限りません。だから、ひとりっ子の親は「もしかしたら、自分の世界観は狭いかもしれない」と自戒するくらいでちょうどいいと思っていてください。

 その上で、子どもにいろいろな「思考のもと」を提示してあげましょう

 漫画、アニメ、テレビドラマ、ニュース番組……など、どんどん見せましょう。そして、ゴシップネタから政治や医療の話まで、硬軟取り混ぜてどんなことでも、子どもとたくさん話をしてください。親は興味がなくても、話題のスポットに一緒に行ってみてください。観たいと思わなかった映画も観てください。

 そうして、さまざまな球を投げてみて、その子が食いついてきたらさらにおしゃべりを深掘りさせましょう。

親が子どもに相談を持ちかける

 ときには、親が抱えているちょっとした悩みなども相談してもいいでしょう。もちろん、軽いものに限りますが、子どもなりに「どうすればいいのか」を一生懸命考えるでしょう。

「お母さんの職場に、ちょっと話しかけにくい先輩がいるんだよね。挨拶しようと思ってもなんだか上手くいかないの」
「ふーん。でも、挨拶しないでいると本当に仲が悪くなっちゃいそうじゃん。気にしないで大きな声でおはようございますって言ったら?」
「そうだね。○○ちゃんの言うとおりだね。お母さんが大げさだったのかもね」

 こんな会話も、子どもにとって重要な「社会との接点」になります。あまり子ども扱いせずに、大人の世界も少しずつ見せていきましょう。考える練習の材料は、日常にたくさん落ちています。

(本稿は、『ひとりっ子の学力の伸ばし方』からの抜粋・編集したものです)