社会人になってキャリアアップを考えるとき、資格を取りたいと思うことがある。ところが、忙しくて勉強する時間がなかなか取れないし、勉強してもすぐに忘れてしまうといって敬遠しがちではないだろうか。そんなときにお勧めなのが『大量に覚えて絶対忘れない「紙1枚」勉強法』。著者が働きながら3年で9つの資格に独学合格したノウハウだ。紙1枚とペン1本あればできるシンプルな方法にもかかわらず、大量に覚えて絶対忘れない「忘れる前に思い出す」最強の仕組み。資格試験、大学受験、公務員試験、どんな試験も完全攻略。本稿では、本書より一部を抜粋・編集して、「紙1枚」勉強法とは何かについて紹介していく。(構成:長沼良和)
忘れてしまうのは自然なこと
人は直近のことは覚えているけれど、数日前のことは忘れてしまう。3日前の昼食に何を食べたか覚えている人は少ない。
勉強についても同様で、一生懸命覚えてもすぐに忘れてしまうのは、誰もが経験的に知っている。
特に試験勉強は、「いかに学んだことを覚えていられるか」が勝負である。
私のように「勉強が苦手な人」は、一度覚えたはずの知識を試験日よりも前に忘れてしまいます。夜中まで勉強をすることもよくあったのですが、いくら勉強時間を増やしても、合格に必要な知識を覚えきれなかったのです。(P.34)
大抵の人は、覚えていたことをすぐに忘れてしまうことで、「なんて自分は忘れっぽいんだ」と嘆いて終わる。
しかし、それは物覚えが悪いということではない。覚えたことを時間の経過とともに忘れるのは自然なことだ。
「覚える」だけでなく「忘れない」作業が重要
ところが、「覚えたことを忘れない人」がいるのも事実だ。物覚えに良し悪しがないとしたら、忘れる人と忘れない人の違いは何であろうか。
忘れてしまうのは、あなたの能力が低いからではありません。勉強の進め方に問題があるのです。(P.36)
資格試験の勉強をしているけれど、なかなか覚えられず点数が伸びない人は、問題集と参考書をただやっているだけの場合が多い。
学習が進むにつれて新しいことを次々覚えなければならなくなるので、最初に覚えたことを忘れてしまう。
勉強で成果が出ないのは、暗記ばかりして復習ができていないから。せっかく覚えたことを繰り返し学ばないので、すぐに忘れてしまうのだ。
記憶力が「良い人」と「悪い人」の違い
勉強は「暗記」と「復習」で成り立っているが、復習は「一度覚えたことを定着させる」ために欠かせない作業だ。
一回覚えたことを忘れる前に「思い出す」。これで理解が深まり記憶として定着しやすくなる。
前日覚えた部分を翌日に復習して思い出す。そして記憶が定着してきたら徐々に復習する間隔を長くしていく。すると最終的には、月に1回思い出せば忘れなくなる状態まで記憶に定着します。(P.39)
大事なのは、覚えることにフォーカスするのではなく、覚えた後に「忘れない」ことである。
これを計画的に実施することで、どんなことも長期的に記憶していられるようになる。
試験勉強に応用するには、覚えた知識を忘れないよう復習するスケジュールを一覧表にして管理することが、本書で紹介されている「大量記憶法」の特徴である。
この記憶法のポイントは2つ。「思い出す」ことと、思い出す周期を「計画表で管理する」ことです。難しいテクニックは一切必要ありません。(P.40)
「復習」を計画的に管理
この記憶法の良いところは、紙1枚とペンがあればすぐにできるということ。手軽だけど着実に記憶ができる。
縦軸は勉強する項目、横軸は復習する日付を入れていく。
興味深いのは、横軸の日付が毎日ではない点である。
最初のうちは頻繁に復習し、時間が経過するにつれて間隔を空ける偏りをつける。
初日には復習を1日に2回するところからはじまって、1日おき、2日おき、3日おきと少しずつ間隔を空けていく。最終的には2週間おきに復習するだけでも覚えていられるようにする。
このペースは、状況に応じて調整することができる。
たとえば、仕事をしながら勉強する会社員の場合だったら、毎日勉強する時間が取りにくい。
そんなときには、1日おきの日程を長くしたり、次に着手する項目に手をつけず、復習に集中するといった調整が簡単にできる。
紙1枚なのに復習するスケジュールが緻密に管理できるので、覚えたことを確実に忘れないでいられる。
ぜひ、本書を手に取って実践してほしい。
■ダイヤモンド社から書籍のご案内
働きながら3年で、9つの資格に独学合格!
はじめまして、棚田健大郎と申します。この度、『大量に覚えて絶対忘れない「紙1枚」勉強法』を上梓します。私は、働きながら3年で、次の9つの資格に独学合格しました。
行政書士、宅地建物取引士、マンション管理士、管理業務主任者、ビジネス法務エキスパート®、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、賃貸不動産経営管理士、敷金診断士、シニアライフ・相続アドバイザー
勉強が得意だったわけではなく、最終学歴は専門学校です。ただ、すべての試験に一発合格できたわけではありません。最初に取得した宅建士は、試験勉強をしっかりしたにもかかわらず、一度落ちています。
1年間がんばったが不合格。その理由は?
当時、サラリーマンだった私は毎日の仕事が忙しく、スクールに通って勉強時間を確保するのが難しかったので、独学合格を目指していました。帰宅後、毎日3時間勉強していたのですが、合格点に1点足りずに落ちてしまったのです。
1年間勉強して落ちたときの心境は言葉では言い表せません。すべてを否定された気がしました。これだけの時間をつぎ込んでも合格できないのは、根本的にやり方が間違っていると思いました。勉強法を見直すことにした私に、ある1つの考えが浮かびます。
「暗記さえできれば合格できる」
不合格になるのは、答えを間違えているから。その原因の多くは、答えを導き出す知識を覚えていないからです。勉強したことを試験日まで「絶対に忘れないようにするしくみ」を作れば、必ず合格できます。
そして試行錯誤の末、『大量に覚えて絶対忘れない「紙1枚」勉強法』が誕生しました。やることはいたってシンプル。覚えたことを忘れないように、「忘れる一歩手前で思い出す」のです。その進捗管理に、私が考案した「大量記憶表」を使います。
「紙1枚勉強法」のメリット
・一度覚えたことを絶対に忘れない
・スケジュール管理ができ、学習効率が大幅アップ
・「見える化」により、モチベーションがとぎれない
この勉強法を確立してからは、9つの資格をたった3年で合格できました。この勉強法は、資格試験だけでなく、大学受験や公務員試験、その他のあらゆる勉強にも応用可能です。
働きながらでも、時間がなくても絶対大丈夫!
資格取得に興味が出てきた人に立ちはだかるのが「時間がない」という壁です。仕事に追われている会社員や家事に追われている人が、「じゃあ、資格の勉強してみようかな」と思っても、「1日数時間も時間がとれない。ましてや、スクールに通う暇なんてない」と思うでしょう。
でも絶対大丈夫。仕事や家事と試験勉強の両立は可能です。私自身、最も仕事が忙しい時期に、市販の問題集と参考書を使った完全独学で、9つの資格をとりました。何とか合格したいと思い、
・過去問の徹底活用(参考書は補足教材)
・1日2~3時間の勉強時間を無理なく確保できる「耳学」
・短時間でも勉強の質が高くなるモチベーションマネジメント
こうした工夫も行いました。あますところなく紹介しますので、「忙しくて勉強時間を確保できない人」でも完全独学で合格できます。この本を読んで実践すれば、必ず結果はついてきます。
今、あなたの前には「日々の忙しい仕事」「勉強時間の確保」という大きな壁が立ちはだかっていますが、それはほんのちょっとした「しくみ」で突破できるのです。
試験直前に効くノウハウも満載!
本書では私が実践してきた、
・試験6か月前、2か月前、2週間前の最強勉強法
・試験当日に一気に点数を伸ばす10のテクニック
・3年間で9つの資格をとった同時受験ノウハウ
これらも紹介しています。すべて「働きながら」「完全独学」「一発合格」には欠かせません。
本書は私にとって初めての著書になります。この本を読んだ人が、勉強によって人生を変えることを強く願い、心を込めて書きました。私の持てる全知識を出し惜しみすることなく公開することを、ここにお約束します。