変化が激しく先行き不透明の時代には、私たち一人ひとりの働き方にもバージョンアップが求められる。必要なのは、答えのない時代に素早く成果を出す仕事のやり方。それがアジャイル仕事術である。『超速で成果を出す アジャイル仕事術』(ダイヤモンド社)は、経営共創基盤グループ会長 冨山和彦氏、『地頭力を鍛える』著者 細谷 功氏の2人がW推薦する注目の書。著者は、経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)で、IGPIシンガポール取締役CEOを務める坂田幸樹氏だ。業界という壁がこわれ、ルーチン業務が減り、プロジェクト単位の仕事が圧倒的に増えていく時代。これからは、組織に依存するのではなく、一人ひとりが自立(自律)した真のプロフェッショナルにならざるを得ない。同書から抜粋している本連載の書下ろし特別編をお届けする。

「評価される人」と「評価されない人」の決定的な違いとは?Photo: Adobe Stock

私たちは、成果で評価されることに慣れている

 私たちは学校教育を通して、成果で評価されることに慣れています。学校ではテストの点数や偏差値、通知表の5段階評価といった成果で生徒のことを評価します。

 成果とは、一つの基準に基づいた測定可能な結果のことを指します。客観性が高く、生徒の学習進度を測定するには適した方法と言えます。

 では、成果による評価に慣れた人たちが社会に出たらどうなるでしょうか?

 社会でも社内の昇進試験や社外の試験が存在することは事実です。しかし、現実社会では成果だけで評価されることはありません。

どんな仕事にも相手が存在する

 現実社会では、どのような仕事にも相手が存在します。相手が存在する以上、相手の課題を解決することで相手に貢献する必要があります。学生時代に追い求めた自分だけの成果の先に、相手が感じる貢献があって初めて、自分の評価が決まります。

 いくら自分が成果を出したと思っていても、相手が喜ばなければ、それは貢献ではなく、自己満足です。「良い商品を開発したのに昇進できなかった」「徹夜して分厚い提案書を作ったのに採用されなかった」などと言っても、相手が評価しなかったものを相手への貢献とは言えません。

相手の期待値を把握して、コントロールする

 では、現実社会で評価されるためにはどうすれば良いのでしょうか?

 そのためにはまず、相手の期待値を把握することから始めましょう。期待値とは、「どのような課題を、いつまでに、どうやって解決して欲しいか」です。

 また、間違っても相手の理不尽な要求をそのまま受け入れてはいけません。無理難題を受け入れることで一時的に相手を喜ばせることができるかもしれませんが、期待値通りの結果を出せなければ、それは貢献ではありません。

 相手の期待値を把握したら、それを達成可能な水準にコントロールするように努めましょう。そして、相手の期待値を少しでも超えられれば、相手は評価してくれるでしょう。

アジャイル仕事術』では、具体的な期待値コントロールの方法以外にも、働き方をバージョンアップするための技術をたくさん紹介しています。

坂田幸樹(さかた・こうき)
株式会社経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)、IGPIシンガポール取締役CEO
早稲田大学政治経済学部卒、IEビジネススクール経営学修士(MBA)
大学卒業後、キャップジェミニ・アーンスト&ヤングに入社。その後、日本コカ・コーラ、リヴァンプなどを経て、経営共創基盤(IGPI)に入社。現在はシンガポールを拠点として日本企業や現地企業、政府機関向けのプロジェクトに従事。細谷功氏との共著書に『構想力が劇的に高まる アーキテクト思考』(ダイヤモンド社)がある。『超速で成果を出す アジャイル仕事術』(ダイヤモンド社、2022年6月29日発売)が初の単著。