解像度が高い人が持っている
4つの視点とは?

 筆者は優れた起業家と接するなかで、解像度の高さに何度も舌を巻いてきました。その解像度の高さが何によって構成されているかを考えたときに見えてきたのが、「深さ」「広さ」「構造」「時間」の4つの視点です。先ほどの筋トレの例のように「一つの事象を、深く、広く要素分解したうえで構造化し、その中でも特に重要なポイントが特定できている。さらに時間の影響も考慮している」のです。

●深さの視点とは、原因や要因、方法を細かく具体的に掘り下げることです。先ほどの例で言えば、筋肉の大まかな位置だけではなく、種類まできちんと特定できていて、それぞれがどのような特徴を持つのかまで把握できている状態です。

●広さの視点とは、考慮する原因や要因、アプローチの多様性を確保することです。先ほどの例で言えば、単に筋トレを提案するだけではなく、食事や休息へのアドバイスも含まれています。それ以外にも、トレーニングを補助するトレーニングギアの選定といった、直接的にトレーニングに関わること以外の要素も含んだ広い視点で検討することもできるでしょう。

●構造の視点とは、「深さ」や「広さ」の視点で見えてきた要素を、意味のある形で分け、要素間の関係性やそれぞれの相対的な重要性を把握することです。筋肉量を増やすという目的に対して、どのような要素が関係しているか、そのつながりの強弱も把握できていることが、構造の把握です。なかには、確かに少しは効果があるけれど、それほど大きな効果はないトレーニングメニューもあります。トレーニングの習慣がついていない初心者には、細かくメニューを用意するよりも、「とにかくこの一つをやってみよう」という提案のほうが良いこともあるでしょう。様々な選択肢を認識したうえで、状況や課題に応じて提案からあえて省けるかどうかが、構造を把握できていることの一つの指標となります。

●時間の視点とは、経時変化や因果関係、物事のプロセスや流れを捉えることです。筋肉がまだついていない時期はどういったトレーニングメニューが良く、徐々についてきたときにはどのトレーニングが良いかなど、時間的な変化やプロセスを考えながらメニューを提案できるかは、時間軸を意識できているかどうかに関係してきます。

解像度が高い人が持っている4つの視点解像度が高い人が持っている4つの視点 拡大画像表示

 このように4つの視点で整理することで、「解像度を上げよう」と誰かに伝えるときにも、「深さ、広さ、構造、時間の中のどの視点に注目すべきか」を整理して伝えられるようになり、より具体的な行動につながるアドバイスができるようになります。