とはいえ、ファンクロスのメカニズムは標準タントと共通。最低地上高は150mm(FF)。アウトドア志向とはいえ、本格的なフィールドに出かけるのは適さない。トレッキング感覚で、いつもの公園や、ちょっとしたお出かけを楽しく演出するキャラクターと考えておいたほうが無難だろう。ターボの走りは、静かでスムーズ、そしてなかなか速い。64ps/100Nmのパワー/トルクを発揮する直3ターボは、ボクシーなボディをキビキビと走らせる。ベルト+ギア駆動のD-CVTの採用で、加速時にラバーバンド感が少ないのも大きなメリットだ。

個性が光る
ミラクルオープンドア

 静粛性は全般的に優秀。高速クルージング時でもエンジン回転数は低めに保たれ、メカニカルノイズは耳につかない。これなら長距離ドライブに連れ出しても乗員の疲労は少ないだろう。全車速対応アダプティブクルーズコントロールをはじめ、安全・運転支援システムが充実しているのもうれしいポイントだ。クルマは、使い込むほど新たな発見があると楽しいと思う。その意味で、ファンクロスは魅力的な存在だ。クルマとしての成り立ちはダイハツの新世代DNGAプラットフォームを採用するなど信頼感たっぷり。驚くほど広い室内と、両側スライドドアでユーティリティは高水準だ。そのうえで積極的に遊びに出掛けたくなるプラスαを備えている。

 後席は荷室側からワンタッチでスライド&格納ができ、ラゲッジボードの工夫でフラット空間を作ることも自在。そして何よりミラクルオープンドアという個性が光る。ファンクロスはユーザーの思いに応え、楽しさがぐっと広がる逸材だ。しかもコンパクトなKカーだから、気軽に出かけられる。3列シートが必須でないユーザーなら、通常のミニバン以上に夢が広がる存在だと感じた。

(CAR and DRIVER編集部/横田宏近 写真/小久保昭彦)

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