短時間で成果を出している人がいる一方、頑張っているのに成果が出ない人もいる。この違いは何だろう? 経営の最前線で20年以上、成果上げられる人と上げられない人の差を徹底研究してきた人物がいる。東洋経済オンライン「市場が評価した経営者ランキング2019」第1位、フォーブス アジア「アジアの優良中小企業ベスト200」4度受賞の木下勝寿社長だ。「やる気に頼らず楽しく続けられる」と話題となっているのがベストセラー『時間最短化、成果最大化の法則──1日1話インストールする“できる人”の思考アルゴリズム』。【がっちりマンデー!!】(TBSテレビ系)のSNSで、「ニトリ」似鳥会長と「食べチョク」秋元代表から「2022年に読んだオススメ本3選」に選抜され話題となっている。本稿では、本書より一部を抜粋、「最短時間で最大の成果を出す方法」を紹介する。
目標達成ツール「着眼法」と「苦情法」とは?
前回まで、目標達成するときの思考法として2つ紹介した。
一つは、原因を考え、それを解消する「原因解消思考」。
もう一つは、最終的にどうなりたいかから逆算して考える「最終目的逆算思考」。そして、XさんとYさんの「原因解消思考」とZさんの「最終目的逆算思考」を紹介した。
「最終目的逆算思考」を選択したZさんは、最終目的を達成する方法を「着眼法」と「苦情法」で探した。
「着眼法」と「苦情法」とは「ヒット率100%」指導の第一人者、伊吹卓(いぶきたく)氏が提唱したアイデア創出法である。
今回の場合の「着眼法」とは成功例に学ぶことである。
そこでZさんは「24時間以内にゴールにたどり着き、100万円を手にした人」を探し出した。
その人にどうやってゴールにたどり着いたかを聞くと、「ヘリコプターで行った」と言う。
スタートからゴールまではヘリコプターで約3分、チャーター料は3万円だった。
次に「苦情法」だ。
こちらは「24時間以内にゴールにたどり着くこと」を念頭に置きつつ、どんな課題があるかを考える。
この場合、「岩を動かすこと」はマストではない。
岩をよじ登って乗り越えてもいい。
そんな視点で3つの岩の形を見直すと、Cの岩が一番登りやすいとわかった。
「着眼法」と「苦情法」で出てくる答えは違うので、より簡単に目標達成できる方法を選ぼう。
ヘリコプターを使うのと、Cの岩を登るのとでは、明らかにヘリコプターのほうが簡単そうだ。
今回の場合、Zさんはヘリコプターでゴールにたどり着くことにした。
そして、まずZさんの取った行動は筋トレをすることでも、リーダーシップを学ぶことでもなく、ヘリコプターチャーター代の3万円を稼ぐためにアルバイトを始めることだった。
そしてその稼いだ3万円でヘリコプターに乗り、見事にゴールにたどり着いたのだった(▼図表8)。
思い込みでわざわざ難易度の高いやり方を
していないか?
成功者が出たことはニュースになったが、その方法は明らかにされなかった。
では、ジムやリーダーシップセミナーに通ったXさんやYさんはZさんの成功をどうとらえたか。
Xさんとジムにいる人たちは、「Zさんはものすごい筋肉の持ち主なのだろう」と考え、より熱心にトレーニングに励んだ。
Yさんとリーダーシップセミナーに通っている人たちは、「Zさんは卓越したリーダーシップのある人なのだろう」と考え、さらにリーダーシップを身につけようとした。
しかし、実際にはZさんには大した筋力もないし、リーダーシップもない。
あなたが憧れている成功者は、実はあなたとそんなに違いはない。
「思考アルゴリズム」が違うだけだ。
多くの人は自らの思い込みでわざわざ難易度の高いやり方をしている。
これが世の中の縮図だ。
(本稿は『時間最短化、成果最大化の法則』の一部を抜粋・編集したものです)