子どもたちが生きる数十年後は、いったいどんな未来になっているのでしょうか。それを予想するのは難しいですが「劇的な変化が次々と起きる社会」であることは間違いないでしょう。そんな未来を生き抜くには、どんな力が必要なのでしょうか? そこでお薦めなのが、『世界標準の子育て』です。本書は4000人を超えるグローバル人材を輩出してきた船津徹氏が、世界中の子育ての事例や理論をもとに「未来の子育てのスタンダード」を解説しています。本連載では本書の内容から、これからの時代の子育てに必要な知識をお伝えしていきます。

世界標準の子育てPhoto: Adobe Stock

放置せず、できるだけ早く子どもと向き合う機会をつくること

 勉強もスポーツも中途半端。家でゴロゴロゲームをしてばかり。

 やる気のないティーンエイジャーにはどう対応したらいいのでしょうか?

 これはまず、親が心を入れ替えることです。

 やる気のない子どもに育てたのは、他でもない親なのです。学校や社会のせいではありません。親が子どもと真剣に向き合い、子どもと対話し、子どもの信頼感と自信を取り戻すことが必要です。

 仕事を休んででも子どもと向き合いましょう。

 ただ、向き合うと言っても、命令したり、説教したり、やる気のない理由を問いただすのはNGです。

 親が小言を口にするほど子どもはうんざりして心を閉ざします。子どもと向き合うというのは「ああせい」「こうせい」と命令することではありません。

 そもそも、「やる気のない子ども」になった原因は「過干渉」です。

「勉強せい」「宿題せい」「ゲームはダメ」「テレビはダメ」「ダラダラしない!」とケチをつけ、小言を言い、子どもの行動をコントロールしてきた結果なのです。

 子どもが幼かった頃は、ありのままの子どもを受け入れ、小さな成長を見つけては褒めていたはずです。

 初めて立てた、初めて言葉をしゃべった、オムツが取れた、自転車に乗れた、子どもの小さな成長を親子で喜び合っていたはずです。

 ところが子どもが大きくなってくると、親の期待も大きくなり、ありのままの子どもを受け入れることを忘れてしまいます。

 そして、子どもを自分の理想に近づけるために「ああせい、こうせい」とコントロールし始めるのです。

何も話さず、ただ子どもと一緒に1日を過ごす

 子どもを私物化せずに、一人前の人格として尊重してください。何より重要なのは、子どもと一緒に何かをする時間をつくることです。

 スポーツでも音楽でも山登りでも釣りでもゲームでも、何でも構いません。

 親が好きなこと、子どもが好きなことを一緒にしながら過ごす時間をつくるのです。

「魚釣りに行こう!」と子どもを誘います。そして自然の中で子どもと2人、黙々と釣り糸をたらす。それだけでいいんです。説教や小言は一切せずに、子どもと一緒に時間を過ごしましょう。

 子どもがゲームばかりしているのであれば、親も一緒にゲームをしてください。マンガばかり読んでいるのであれば、親も一緒にマンガを読んでください。

 子どもと一緒のことをしながら、共に時間を過ごしてみます。

 子どもと一緒にいると、それまで見落としていた子どもの「良い面」が見えてきます。

 ゲームがやたらとうまい、マンガを描くのがうまい、コンピューターが得意など、子どもの「強み」を見つけたら、それを口に出して褒めてあげてください。

親は、子どもの一番の応援団である

 親は子どもの一番の応援団であるべきなのです。

 子どもの「強み」や「良い面」を親が見つけて、認めて、応援してあげないと子どもはやる気を失います。

強み」が親の期待どおりでなくても、必ず認めて、応援してあげてください。

 そして、「強み」をさらに大きくするために新しい環境に入れたり、その技能を伸ばすチャンスを与えてあげてください

 子どもの「強み」や夢中になっていることを親が応援して、伸ばしてあげる。「強み」が大きくなれば、自信も大きくなり、子どもはやる気を取り戻します。

 ・親が子どもと一緒のことをする時間を持つ
 ・指示、命令、小言、説教をやめて人間同士のコミュニケーションを心がける
 ・子どもの強みや好きなことを見つけて親が応援する 

 以上の3つを実践すれば、やる気は取り戻せます。