東京エレクトロンが8四半期ぶり減収、半導体5社決算に見る「シリコンサイクルの現状」Photo:PIXTA

新型コロナウイルス禍に円安、資源・原材料の高騰、半導体不足など、日本企業にいくつもの試練が今もなお襲いかかっている。その中で企業によって業績の明暗が分かれているが、格差の要因は何なのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は東京エレクトロン、ルネサスエレクトロニクスなどの「半導体関連」業界5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)

半導体銘柄2社は2桁増収
東京エレクトロンは減収

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の半導体関連業界5社。対象期間は2022年8~12月期の四半期(5社とも22年10〜12月期)としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・東京エレクトロン
 増収率:マイナス7.6%(四半期の売上高4678億円)
・ルネサスエレクトロニクス
 増収率:24.4%(四半期の売上収益3908億円)
・アドバンテスト
 増収率:23.1%(四半期の売上高1380億円)
・レーザーテック
 増収率:5.6%(四半期の売上高294億円)
・ディスコ
 増収率:2.6%(四半期の売上高658億円)

 2022年7〜9月期は、5社全てが前年同期比で2桁の増収率を記録していたが、今回は2桁増となったのは2社にとどまった。ルネサスとアドバンテストは2割超の増収となった一方で、東京エレクトロンは、マイナス7.6%という減収に陥っている。

 コロナ禍以降、世界的な半導体不足の影響もあり好況に沸いた半導体市場だが、不況への転換期に入ったという指摘も聞こえてくるようになった。半導体業界は「シリコンサイクル」と呼ばれる好況と不況を繰り返し、3~4年に一度は需要が大きく落ち込むという流れがあるからだ。

 ただ、8四半期ぶりの減収となった東京エレクトロンだが、実は直近で通期業績を上方修正している。他の半導体関連4社の足元の業績を見ても「大異変」は生じていないようだ。

 さらに、各社が現在は調整局面としつつも、シリコンサイクルの次の山に向かって見通しを立てている様子も垣間見える。

 次ページ以降では、各社の増収率の時系列推移を紹介するとともに、減収となった東京エレクトロンが前向きな見通しを立てている理由を見てみる。