値上げ、品質ダウン、持続不可能の三つでカオス
勝ち筋探しで各社が奔走
ちなみに当たり前の話ですが、仕入れ先と従業員に泣いてもらって価格と品質を維持しようとすると、いつかどこかで品質が落ちます。こうして業界のさまざまなプレーヤーが努力をする結果、「価格が上がる店」「品質が下がる店」、そして「持続的でなくなる店」がそれぞれ増えていく。つまりカオスに陥るというのが私の予測です。
長く続いたデフレ経済では、良い品質のものを誰よりも安く提供した企業が勝ち組になりました。コーヒーの世界では、ひと昔前に安いロブスタ種のコーヒーに抽出促進剤を混ぜることでなるべくたくさん抽出して、お代わり自由のコーヒーを提供するスタイルが流行したのですが、それは昔の話です。
デフレ経済が続く中で本物のコーヒーまで安くなり、最後はおいしいコーヒーが世の中を制覇して現在に至ります。
それがこの1年で前提が変わり、仕入れ値が上がるインフレ経済が始まったわけです。
これまでの勝ちパターンが通用しなくなるという意味で、これからしばらくの間はモーニング競争も大きく揺れ動くでしょう。
個人的には「おいしいモーニングを少しだけ値上げしてなんとか維持する」会社に勝ち残ってほしいと思いますが、まずはカオスが始まるはず。そして場合によってはそれほどおいしくはないチェーンが勝ち残る未来も起こりえるという、ちょっと不安な競争が始まったのです。