多くの人を動かした2万円パワー

 マイナンバーカードが出てきた当初は国民総ID化などが嫌がられて、またカード作成の必要性があまりなかったことから、普及は思うように進展しなかった印象である。フリーランスの人は取引先のそれぞれからしょっちゅう「マイナンバーの提出をお願いします」とお知らせが来るので、筆者もその提出のためにカード作成に走ったが、フリーランスでない人に話を聞くと持っていない人が多くて拍子抜けしたものである。
 
 しかしそれも、今回の“最大2万円”キャンペーンが大いに功を奏したようだ。2022年5月1日時点の交付枚数は5577万枚、人口に対する交付枚数率44.0%であった。その1カ月後、6月1日時点が5660万枚、44.7%で、「超」微増である。

 そして一部ポイントの付与が始まったのは2022年6月30日で、初動はゆるやかな伸び率だが、カード作成申請期限の2月末に向けて徐々に伸び率を加速させていき、今年1月末で7566万枚・60.1%、2月26日時点で9085万枚・72.2%にまで達した。2万円に対する国民のストレートな熱のようなものが感じられて心地よい。
 
 それもそのはずである。ちょっと面倒だが手続きをすれば手に入る額としての“2万円”は、金額設定が絶妙だ。当然世帯の所得によって金銭感覚は異なるわけで、2万円を「是が非でも手に入れたい金額」と感じない高所得世帯にとっても、「しかし、取りこぼしたら確実に後悔する金額」、それが2万円である。

 1万円くらい取りこぼしてもびくともしない世帯でも、おそらく2万円を取りこぼしたらめまいを感じて倒れ込む程度の衝撃は免れない。であるから、上記データの交付枚数率から逆算するに、カード未取得という3割程度の人がめまいを感じて倒れ込むか、あるいは2万円取りこぼしにまったく動じない富裕層か鉄の胆力の持ち主か、である。