今、日本では空前のサウナブームが起きています。
芸能人や著名な経営者にも「サウナ好き」を公言する方が増え、また身近なビジネスパーソンで、精力的に仕事をこなすトップエリートと呼ばれる男女がこぞってサウナに通っています。なぜ、仕事ができる人は、サウナにハマるのでしょうか?
サウナを初めて科学的エビデンスに基づいて解説した話題の書「医者が教えるサウナの教科書」(加藤容崇著)より、最新研究に基づいたサウナの脳と体に与える効果と、最高に「ととのう」ための入り方を、本書から抜粋して紹介していきます。
ととのイップスって何?
サウナに通い慣れてくると、過酷な環境に体が適応してしまい、交感神経が活性化しにくくなることがあります。すると、結果的に「ととのい」が不十分になります。私はこれを「ととのイップス」と呼んでいます。
解決の糸口は、いかにして交感神経を活性化するかということ。
しかし、サウナ室にいる時間を延ばしたり、シングルと呼ばれる10度未満の水風呂に入ったりするような方法は、サウナ依存症を生む恐れがあるため望ましくありません。
そこでおすすめなのが、熱波(アウフグース)タイムを利用することです。
ロウリュ+熱波によって体感温度が上昇することに加え、札幌ニコーリフレのように、「1、2、サウナー!」と、みんなで掛け声を上げて盛り上がることで、交感神経が活性化しやすくなります。
とはいえ、多くの銭湯サウナには熱波師はいないため、その場合は、本書のP154で紹介している「マッサウジ」を試してみてください。軽く体を動かすことで交感神経が活性化します。
サウナ室に入っても雑念が湧いてくるようなら、塩飴を舐める
本来は、サウナに入るとゴチャゴチャ考えられなくなるため、DMN(デフォルト・モード・ネットワーク・ぼーっとしている時に働く脳回路)の消費が抑えられて脳疲労が取れます。しかし、サウナに慣れてきて余裕が出てくると、あれこれ考えられるようになることがあります。
この場合、特に影響が大きいのが他の利用者の「サテラシー(サウナ・リテラシー)」です。他者の細かい動作が非常に気になってしまうのです。
たとえば、汗を手で拭ってグジュグジュいっている音、はぁはぁした息遣い、水風呂に乱暴に入ってきて羽衣を剥がしてくる不届き者……など。
とにかく色々な雑念が入ってしまい、脳疲労が取れません。
この対処法として使える裏技は、サウナ室で塩飴を舐めることです。
もちろん、サウナ室では飲食厳禁なので、絶対に汚したりゴミを散らかしたりして迷惑をかけてはいけません。必ず、サウナ施設の人に了承を取ってから行いましょう。
なぜ、これが有効なのかと言うと、飴を舐めるという行為に没頭できるからです。手持ちぶさたの状態だと、人はなかなか無にはなれません。しかし、何か一つ、集中できることがあると、他のことが気にならなくなります。
飴は飴でも塩飴である理由は、汗が出ることで塩分不足に陥った体に、塩分を補給できるからです。
ちなみに、氷を用意してくれている施設もありますが、ずっと舐めていると深部体温が上がりづらくなるので注意が必要です。熱波タイムの前に食べるのがベストだと思います。
もし、塩飴をなめるのが難しい場合は、やはり「マッサウジ」が有効です。一つの作業、自分の感覚に集中することで雑念を感じにくくなります。
いずれにせよ、「ととのう」「ととのわない」と、ゴチャゴチャ考えるほど雑念が入り、余計ととのわなくなります。ですから、ここで紹介したこと以外にも、雑念を払う方法を個人個人で考えてトライしてみてください。そうやって、自分なりの入り方を追求するのも面白いですよ。
*本記事は、「医者が教えるサウナの教科書」から、抜粋・編集したものです。