「英語を話せるようになりたい」という人にぜひ読んでほしい1冊が『5分間英単語』だ。1トピック5分のトレーニングで、日本人の英語学習に不足しているボキャブラリーを拡大し、スピーキングやリスニングなど実践的な英語力アップに役立つ1冊だ。著者は、英字新聞The Japan Times Alpha編集長を10年以上務める高橋敏之氏。一般的な英単語集には記載されていない「ニュアンス」や「実際の使われ方」を丁寧に解説した。本稿では『5分間英単語』から特別に一部を抜粋して紹介する。
pick up:「拾い上げる」から派生する7つのニュアンス
pickを使ったphrasal verbのうち、特に重要なpick upについて見ていこう。
(1)「~を拾い上げる、手で持ち上げる」
(2)「~を迎えに行く」
(3)「~を途中で買う、引き取る」
(4)「(知識など)を身につける」
(5)「(スピード・勢い)を増す」
(6)「(病気)に感染する」
(7)「~をナンパする」
幅広い意味で使われるが、全てに共通しているのは「拾い上げる(その結果、自分のものにする)」というイメージ。これを頭に入れたうえで、改めて上記の意味を見てみると、全て「拾い上げる」というイメージがあるのが見て取れるはずだ。
日本語でも「車で拾う」と言う通り、誰かを迎えに行くことも「拾い上げる」につながるし、途中で何かを買って帰る、知識を身につけて自分のものにする、誰かから病気をもらってしまうことも「拾う」感じがある。同じく、ナンパだって声を掛けて連れていくわけだから「拾う」ことにつながる。また、坂道で玉を転がすと、どんどん速度を増していくが、これも転がりながら「速度・勢いを拾い上げている」と解釈できる。
このようにpick upは「拾い上げる」という基本の意味を出発点として、上記の意味で使われるようになったと考えておこう。こうしたことを知っておけば、pick upに出くわしても「拾い上げる」という意味で解釈しておけば大きくずれることはないため、大変便利だ。
(1)「~を拾い上げる、手で持ち上げる」
I picked up the coin off the floor.
「私は床からそのコインを拾い上げた」
The baby started to cry and Linda picked her up.
「赤ちゃんが泣き出して、リンダが抱き上げた」
The phone rang and I picked it up.
「電話が鳴り、私はその電話に出た」
◆ 「受話器を持ち上げる」というイメージから「電話を取る」の意味でも用いる
(2)「~を迎えに行く」
I’ll pick you up around seven.
「7時ごろに迎えに行きます」
Gina needs to pick up her kids at school.
「ジーナは学校に子どもたちを迎えに行く必要がある」
◆ 〈ミス防止〉at schoolのところは「学校から迎えに行く」と考えてfrom schoolを使ってもOK。ただし、「学校に」につられてto schoolとしないこと
Every morning the school bus picks up my daughter at nine.
「毎朝9時にスクールバスが娘を乗せていく」
(3)「~を途中で買う、引き取る」
Can you pick up milk on your way home?
「帰りに牛乳を買ってきてくれない?」
Ben picked up his dry cleaning.
「ベンはドライクリーニングに出した衣類を引き取った」
(4)「(知識など)を身につける」
Rose picked up some Japanese phrases when she was living in Tokyo.
「ローズは東京に住んでいた時、日本語の表現をいくつか覚えた」
◆ (4)の意味では特に外国語の知識・表現などを身につけるという文脈で使うことが多い
(5)「(スピード・勢い)を増す」
The truck picked up speed.
「トラックはスピードを上げた」
◆ The wind picked up.(風が強くなった)のように「(速度・勢いが)増す」という自動詞としても用いられる
(6)「(病気)に感染する」
He picked up a cold when he was in Madrid.
「彼はマドリードにいる時に風邪にかかってしまった」
(7)「~をナンパする」
I used to go to clubs to pick up chicks.
「昔は女をナンパするためにクラブに行ったものだ」
□ phrase(名)語句
□ chick(名)特に若い女性を指す言い方
(本稿は『5分間英単語』から抜粋・編集したものです。)