最近のホンダ車の中でも
トップクラスの完成度

 走りの気持ちよさの源泉は、実はエンジン。シビックe:HEVでデビューした新開発2Lエンジンは静かなうえに回転フィールが滑らか。走行中にエンジンが始動してもほとんど気にならない。その一方で、アクセルペダルを一定以上踏み込んだ状態ではエンジン音を軽く響かせるとともに、まるでギアボックスがシフトアップしているかのように調律。エンジン回転数を上下させることでスポーツ性を演出する。

 ハンドリングもシビックと似ていた。極端にシャープということはないけれど、どんな状況でも良好なリニアリティとレスポンスを発揮する。まさに意のままに操れる。運転操作に対するピッチやロールといったボディの動きはスムーズそのもの。

 操作系の感触やクルマの挙動が、丁寧に煮詰められている点が好印象。最近のホンダ車の中でもトップクラスの完成度だ。

 あえて弱点を指摘するならば、細かく波打った路面ではスムーズに振動を吸収できず、ややこわばった反応を示すこと。もっとも、アクティブなドライバーならほとんど気にならないはず。走りを含めシビック譲りの高いクオリティを備えたZR-VがSUV市場に一波乱を起こすのは間違いないだろう。

(CAR and DRIVER編集部 報告/大谷達也 写真/小久保昭彦)

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