職場でもプライベートでも、人間関係に悩む人は多い。一方で、「なぜ、あの人は誰とでもうまくやれるのか?」と人間関係を上手にこなす人もいる。『慕われる人の習慣』(レス・ギブリン著 弓場隆訳)は人に慕われる技術をシンプルにまとめた「人間関係の黄金律」として読みつがれている本だ。『メンタルダウンで地獄を見た元エリート自衛官が語る この世を生き抜く最強の技術』の著者でTwitterフォロワー数15万人超えの人気会社員のわびさんに『慕われる人の習慣』のおすすめポイントについて話を聞いた。

【メンタルダウンから復活した元自衛官が語る】「人間関係がうまい人」は「絶対にやっている」単純なことPhoto: Adobe Stock

「慕われる人」が絶対にやっていること

――『慕われる人の習慣』をご一読いただき、ありがとうございます。ご感想を教えていただけますでしょうか。

想像していた以上にストレートな内容で驚きました。

この手の本は、本音をオブラートに包みながら述べられることが多いと思いますが、『慕われる人の習慣』は、慕われることの目的や利益、そして、その方法を包み隠さず述べています。

ただ、回りくどい表現がない分、「何をしたら良いか」が明快で、とてもわかりやすいです。

また、読んでいるうちに、「そういえば、あの人もこんな習慣があるなぁ」と、自分の身近にいる慕われる人が浮かんできます。

それだけ「慕われる人の習慣」の要素をしっかりと抽出した内容だと思います。

――『慕われる人の習慣』のなかでは、人間関係の基本となるテクニックが数多く紹介されています。とくにわびさんの印象に残ったものがあれば、教えてください。

相手の話をよく聞くことの大切さですね。

この本は慕われる人のいろんな習慣を章立てしていますが、ほとんどの章において相手の話をよく聞くことの大切さが述べられています。

その度に私の身近にいる「慕われる人」が浮かんでくるので、聞き上手は慕われる人になるための外せない習慣だと再認識することができました。

「聞き上手になる習慣」という章では、聞き上手になるコツについて述べられており、読んですぐに聞き上手になる練習ができると思います。

――わびさんご自身は「慕われる人」になりたいと思ったことはありますでしょうか。また、人間関係を築くにあたり、いま一番気をつけていることがありましたら教えてください。

あります。そして、今もたまに思います。

基本的には陰キャなのでひとりの時間を好みますが、そんな私でも「慕われたい」という気持ちはあります。

人間は社会の中でしか生きがいを実感できないとも言われているので、おそらくほとんどの人は心のどこかで「慕われる人」になりたいと思っているのではないでしょうか。

私はまだまだ慕われる人ではありませんが、まわりの慕われる人を見ていると共通する特徴があります。

それは「人の話をよく聞く」ことです。

この特徴は『慕われる人の習慣』のなかでも述べられていますが、慕われている人は実践していますね。

よく聞くとは、人の話を遮らない、否定しない、などです。

私も慕われる人の特徴に倣って、気をつけていますが、なかなか難しいですね。

「階級」に敬礼するか「人」に敬礼するか

――自衛隊はとくに上下関係に厳しい組織という印象があります。自衛隊のなかでも「慕われる人」と「慕われない人」がいたと思うのですが、その違いはどのようなところから生じるとお考えですか。

おっしゃるとおり、自衛隊は階級社会です。上位者には敬礼をしなければなりません。

その敬礼には2パターンあると思っています。

「階級」に敬礼するパターンと「その人自身」に敬礼するパターンです。

階級に敬礼するとは、その人を慕ってはいないけど、階級が上なのでなんとなく実施する敬礼です。

その人自身に敬礼するパターンは、階級だけでなくその人自身を慕っているから実施する敬礼です。

この両者の違いは「統御」にあると思っています。

自衛隊では、統率「指揮」を基本とし「管理」「統御」という3つの要素を総合したものと教えられます。

指揮や管理はイメージできると思います。

一方、統御は部下を感化させること、良い方向に導くことです。

『慕われる人の習慣』のなかにあるジョン・ラスキンの言葉「実例を示すことによって、人々が道をひらくのを手伝う作業」に近いです。

それによって部下や組織全体の能力を最大限に発揮させるというものが統御になります。

この統御の成否が、「慕われる人」か「慕われない人」かを分けると思います。

【メンタルダウンから復活した元自衛官が語る】「人間関係がうまい人」は「絶対にやっている」単純なことわび
航空業界で働く危機管理屋
某国立大学卒業後、陸上自衛隊幹部候補生学校に入隊。高射特科大隊で小隊長になり、その後、師団司令部や方面総監部で勤務。入隊後10年間は順風満帆だったが、早朝から深夜までの激務と上司によるパワハラが重なり、メンタルダウン。第一線からの異動を経て、「出世ばかりが人生ではない」「人に認められるためではなく、もっと楽しく生きたい」と思い、市役所に転職。激務だった自衛隊時代に比べると天国のような場所だったが、自らの成長の機会を得るため、転職後1年半で航空業界にキャリアチェンジ。給料は市役所時代の倍に跳ね上がった。自衛隊などの社会人経験で身につけたメンタルコントロール術、仕事や人間関係に対する向き合い方などを中心にツイッターで発信を開始。普通の会社員にもかかわらず、開始して2年でフォロワー数が8万人を突破。ツイートはネットニュースなどにも取り上げられ、人気を博している。2023年3月現在、Twitterフォロワーは15万人。『メンタルダウンで地獄を見た元エリート幹部自衛官が語る この世を生き抜く最強の技術』が初の著書。Twitter:@Japanese_hare(イラスト:死後くん)