「子どもには、少しでも体によいものを食べさせたい!」ですよね。
でも、ごはんは毎日のこと。なるべくシンプルで簡単に済ませたいものです。
この連載では、『医師が教える 子どもの食事 50の基本』の著者で、赤坂ファミリークリニックの院長であり、東京大学医学部附属病院の小児科医でもある伊藤明子先生が、最新の医学データをもとに「子どもが食べるべきもの、避けるべきもの」をご紹介します。
不確かなネット情報ではなく、医学データと膨大な臨床経験から、本当に子どもの体と脳によい食事がわかります。毎日の食卓にすぐに取り入れられるヒントが満載です。
※食物アレルギーのある方は必ず医師に相談してください。

【小児科医が教える】子どもの体に「超いい漬物」「悪い漬物」。その違いとは?Photo: Adobe Stock

漬物って、子どもにも大丈夫?

「子どもに漬物なんて、塩分が心配……」という声もあるでしょう。たしかに漬物によっては塩分が多く、控えたほうがよいものもあります。塩分は体内で炎症を起こすので[*60]、控えめタイプの漬物を選びましょう。作る場合も塩を入れすぎないようにしてください。塩分控えめの目安は食材の全重量の6%あたりです。

どうして漬物がいいの?

 専門的には、

 ●善玉菌 = プロバイオティクス
 ●善玉菌のエサ = プレバイオティクス
 ●善玉菌とそのエサが両方含まれるもの = シンバイオティクス

 といいます。

 シンは「一緒に」「同時に」という意味です。

 善玉菌と食物繊維が両方含まれているのが、ぬか漬け、すぐき漬け、キムチ。これらはシンバイオティクスです。納豆もシンバイオティクスの機能があります。

 プロバイオティクス(善玉菌)と、そのエサである水溶性食物繊維はセットで摂らないと効果を発揮できません。ですからその両方の働きを併せもつ漬物は、大変優秀な食品です。積極的に食べて腸内環境を整え、皮膚の状態改善も目指しましょう。

 すぐき漬けは京都の伝統的な漬物の一種で、医学博士、岸田綱太郎(きしだつなたろう)氏が発見した乳酸菌の一種、ラブレ菌が含まれています。京都の男性が全国でも長寿なのは、京都の漬物によるものでは? という疫学観察もされました[*61]。

原材料にミョウバンがあったら注意

 市販の漬物のなかには、ミョウバンを使ったものがあります。ミョウバンは食品の発色をよくする添加物で、成分にアルミニウムを含みます。

 アルミニウムは神経の成長に影響を及ぼすので、とくに子どもへの多用はおすすめしていません[*62]。

 ミョウバンはベーキングパウダー、入浴剤、制汗剤にも使われることがあります。成分表示を確認して、気になるなら、アルミニウムフリーの商品を選びましょう。

 このほかにも『医師が教える 子どもの食事 50の基本』では、子どもの脳と体に最高の食べ方、最悪の食べ方をわかりやすく紹介しています。

(本原稿は伊藤明子著『医師が教える 子どもの食事 50の基本』から一部抜粋・編集したものです)

*60 Wenzel UO, et al. Salt, inflammation, IL-17 and hypertension. Br J Pharmacol. 2019 Jun; 176(12):1853-1863.
*61 https://www.city.kyotango.lg.jp/material/files/group/1/20211125_n191.pdf
(2022年11月20日)
*62 Skalny AV, et al. Molecular mechanisms of aluminum neurotoxicity: Update on adverse effects and therapeutic strategies. Adv Neurotoxicol. 2021; 5:1-34.