子どもたちが生きる数十年後は、いったいどんな未来になっているのでしょうか。それを予想するのは難しいですが「劇的な変化が次々と起きる社会」であることは間違いないでしょう。そんな未来を生き抜くには、どんな力が必要なのでしょうか? そこでお薦めなのが、『世界標準の子育て』です。本書は4000人を超えるグローバル人材を輩出してきた船津徹氏が、世界中の子育ての事例や理論をもとに「未来の子育てのスタンダード」を解説しています。本連載では本書の内容から、これからの時代の子育てに必要な知識をお伝えしていきます。

世界標準の子育てPhoto: Adobe Stock

聞く力が育つと勉強が得意になり、
コミュニケーション能力も増す

 これまでの記事でお伝えした通り、0歳から6歳の子どもは「感情表現」を育んであげることが大切ですが、それと同時に6歳までに「話す力」「共感して聞く力」を伸ばしてあげてください。

 特に後者の「聞く力」は重要で、聞く力が育つと、勉強が得意な子になります。

 人の話を真剣に聞くことができる子は集中力があり、1回の授業、1回の会話で大事なことをどんどん学んでいけます。

 また、コミュニケーションとは自分の言いたいことを一方的に伝えることでなく、人と人とがメッセージを伝え合うことです。

 話して、聞いて、という2つができる子はコミュニケーションがどんどん得意になっていきます。

 ところが、この「聞く力」が育っていない子どもが実に多いのです。

 話の途中に割り込む、頭に浮かんだことをすぐ口に出す、人の話を最後まで聞けない、自分の言いたいことを優先して人の話をきちんと聞くことができない、そんな子どもがたくさんいます。

 そして、そのまま大人になってしまっています。

 これはのちに大きな問題となってしまうので、まずは、見本を示す上でも親が子どもの話をしっかり聞いてあげてください。

「何が言いたいの!」「ちゃんと説明して!」「忙しいから後にして!」などと言わずに、子どもが話をしている時はきちんと最後まで聞きましょう。

 幼い子どもは言葉が足らず、文法が足らず、表現力が足りませんから、何を言いたいのかわからないのが普通なのです。

 ですから、「早くしなさい」とせきたてずに、ニコニコしながら子どもの話を最後まで聞いてあげてください。

せかさず子どもに話す時間をたっぷり与える

 子どもの話を聞く時のポイントは、目線を合わせることです。

 上から目線でなく、子どもと目線を合わせて「うんうん」うなずきながら聞きます。

 時には身を乗り出して「ヘェー」「本当!」と相づちを打つ。「それはびっくりしたね!」と子どもの話に共感しながら聞く。

 大人を相手に聞く時とまったく同じです。くれぐれもせかしたり、否定したり、話をさえぎったりしないでください。

 子どもの話を聞く時は、話の内容よりも「子どもの心に共感すること」を意識しましょう。

 たとえば母親がママ友との会話に夢中になっていると、子どもが「ママ! ママ!」とうるさく言ってくることがありますね。

 あれは「私に目を向けて!」「ボクの話も聞いて」というメッセージです。

 よほど重要な話でなければ、子どもに向き合って「はい、聞いてあげますよ」と伝えて安心させてあげましょう。

 子どもの気持ちが満たされれば「ママ、ママ」としつこく言ってくることはありません。

 親が「聞き上手」になると、子どもの側からどんどん話をするようになります。

 相手が自分の話に興味を持ってくれていることがわかると、それが嬉しくてどんどん話をしたくなるのです。

 子どもは自分の考えを言葉に出すことで頭の中が整理されていきます。

 その経験が相手にわかりやすく話すこと、順序立ててロジカルに話すこと、つまりコミュニケーション力の向上につながっていきます。