オンボーディングの語源は乗船だといいましたが、豪華客船のクルージングなどでは単に船に乗るというだけでなく、乗船時にさまざまな歓待をしてくれます。そういった、自分が迎え入れられているという体験を新メンバーにしてもらうことは大事です。
採用は新メンバーの出社初日で終わるのではなく、オンボーディングを終了することで真の終わりとなります。採用担当者はともすれば「入社してもらったら仕事は終わり」と思いがちですが、実際にはオンボーディングが終わり、小さくても達成感を味わってもらって、新メンバーが戦力化する第一歩を踏み出すところまでが採用なのです。
迎え入れる組織の側にも
オンボーディングのメリット
組織側にも、オンボーディングを実施することでメリットがあります。まず、当たり前ですが新メンバーが増えること自体がプラスです。初めに述べた「全体は部分の総和に勝る」です。
さらに新しいメンバーに組織の戦略やミッション・ビジョン・バリューを伝えようとすることで、自分たち自身がこれらを再認識するいい機会になります。チームの中で暗黙知となっている情報でも、実は個々の解釈が違ったり、共有しにくかったりすることがあります。これを改めて新メンバーのためにまとめ直すことで、「いい状態」で形式化することができ、共有しやすくすることができるのです。
例えば、仕事のプロセスをドキュメント化してあったとしても、プロセスが改変されたり環境が変わったりしたときに、ドキュメントが都度更新されるとは限りません。既存メンバーにとっては毎日のプロセスであるため、急いで更新せずとも困らないからです。ただ、この状態では、いざ新しいメンバーを迎えようというときにかなり古い情報しか残っていない“死んだ”ドキュメントになっている可能性があります。