マネジャー自身の努力にも限界があるので、人事部のサポートも重要です。メンバーの加入から30日・60日・90日たったタイミングで、自動的に(または手動でも構いませんが)新メンバーとマネジャーへメールを送って現在の状況を聞いたり、新メンバーに現況をアンケートしたり、といったかたちでサポートするとよいでしょう。

 最近では入社後・チームイン後のフォローを自動的に、決まったタイミングで実施できるオンボーディング用のクラウドサービスも増えています。そういったツールを導入して新メンバーやチームの状態を可視化することで、オンボーディングはより効果的に実施できるのではないかと思います。

豪華客船に乗船する乗客のように
新メンバーを歓迎する

 メンバーが組織の一員として成果を出すようになるためには、チームも成熟している必要があります。米国の心理学者・タックマンが提唱する、チームの成熟度を5つに分けた「タックマンモデル」でいえば「パフォーミング(機能期)」の段階です。

 チームに後から加わる新メンバーは、1人でこの段階を一気に駆け上がることになります。成熟したチームにいる周りのメンバーはつい、新メンバーが「ノーミング」「パフォーミング」の段階へ一足飛びに到達することを期待してしまうのですが、これにはそれなりに時間がかかります。そこで、新メンバーを支える仕組みが必要です。

 今のオンボーディングでは、特にOJTをパーソナライズすることが大切です。新たに入社してくる人は、持っている知識やスキルも性格もバラバラだからです。そこで前提知識やスキルレベル、キャラクターに合ったパーソナライズを行います。ドキュメント自体はある程度決まったフォーマットで構いませんが、その中で伝えることの厚みを変え、追加・削除を行いましょう。

 新メンバーのオンボーディング体験で大切なのは、「仲間として一緒に働きたい」「この組織の一員として成果を出したい」と思ってもらえるかどうかです。英語圏で組織が新メンバーを迎えるとき、共有ドキュメントに「ウェルカムドキュメント」といったタイトルが付いていて冒頭に「ようこそ! 一緒に働けることになってうれしい」などと書かれていたり、初日に机に花や風船が飾られていたりするのは、そんな理由からです。