「幸福」を3つの資本をもとに定義した前著『幸福の「資本」論』からパワーアップ。3つの資本に“合理性”の横軸を加味して、人生の成功について追求した橘玲氏の最新刊『シンプルで合理的な人生設計』が話題だ。“自由に生きるためには人生の土台を合理的に設計せよ”と語る著者・橘玲氏の人生設計論の一部をご紹介しよう!

お腹が空くと「このままでは死んでしまう!」という警報が鳴り響くのと同様に、「お金」や「時間」が欠乏するとほかのことが手につかなくなるPhoto:aaalll3110 / PIXTA(ピクスタ)

「このままでは死んでしまう!」という警報を止めろ

 すべての生き物にとって、死を避ける以上に重要なことは(生殖を除けば)ない。脳に警報が鳴り響くと、わたしたちはそれを止める以外のことを考えられなくなる。「食べ物が欠乏している」というアラームが鳴れば、どんなことをしてでも食料を探し出し、(他人のものを奪ってでも)空腹を癒さなければならない。

 同様に「お金/時間が欠乏している」というアラームが鳴ると、わたしたちはそれに対処する以外のことができなくなる。この状態は高層ビルの屋上の端に立たされているとか、銃口を頭に突きつけられているのとさして変わらないから、仕事や勉強(試験)のパフォーマンスは大幅に下がるだろう。

 この極限状況から逃れるにはどうすればいいだろうか。

「お金の欠乏」については、あらかじめお金を手にしておくという、きわめてシンプルで効果的な解決方法がある。そうすれば脳の警報は止まり、課題に対して余裕をもって対処でき、パフォーマンスは上がるだろう。これが、お金持ちの子どもが優秀な成績を収め、貧しい家庭の子どもが学校で苦労する理由のひとつだとされている。