11×11~19×19をパパっと暗算できる「おみやげ算」。新刊『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』は、小学生の計算力強化はもちろん、大人の脳トレとしても役立ちます。本書の著者である、東大卒プロ算数講師の小杉拓也氏に、「多角形の対角線の本数の求め方と、その理由」にもふれながら、わかりやすく解説してもらいました。
おみやげ算のおさらい
さっそくですが、おみやげ算の計算法について説明します。
(例)16×13=
①16×13の右の「13の一の位の3」をおみやげとして、左の16に渡します。
すると、16×13が、(16+3)×(13-3)=19×10(=190)になります。
②その190に、「16の一の位の6」と「おみやげの3」をかけた18をたした208が答えです。
まとめると、16×13=(16+3)×(13-3)+6×3=190+18=208です。
この2ステップで、例えば、14×14、16×15、17×19などの「十の位が1の2ケタの数どうしのかけ算」は、おみやげ算を使ってすべて計算でき、慣れると暗算もできるようになります。
「おみやげ算で計算できる理由の証明(文字式を使った説明)」については、本連載の第2回『「16×18=288」が爆速で暗算できる驚きの方法』に掲載しています。
また、小学生向けの理由の説明は、新刊『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』の巻末に、長方形の面積図を使った方法を載せているので、興味のある方はご参照ください。
□角形の対角線の本数が「□×(□-3)÷2」で求められる理由とは?
ところで、□角形の対角線の本数は、なぜ「□×(□-3)÷2」という式で求められるのでしょうか。正五角形ABCDEを例に説明します。
まず頂点Aから、何本の対角線が引けるかを考えてみましょう。頂点A自身と、隣の頂点Bと頂点Eの3点を除いた、(5-3=)2点(頂点Cと頂点D)に向けて、対角線を引けます。
同様に、他の頂点からも2点に向けて、対角線を引けます。正五角形の5つの頂点から、2本ずつ引けるのですから、あわせて、(5×2=)10本です。ただし、この10本を答えにしないように注意が必要です。
例えば、対角線ACについて考えましょう。上記の数え方の場合、1本の対角線ACについて、頂点Aから頂点Cに引く線分と、頂点Cから頂点Aに引く線分の、2回数えています。
そのため、10本を2で割って、正五角形の対角線の本数が、(10÷2=)5本と求められます。
「その頂点自身と、隣の2点をあわせた、3点を引く」ということと、「対角線を2回ずつ数えているので、2で割る」ために、「□角形の対角線の本数=□×(□-3)÷2」となるのです。