政治家の言う無料や無償という言葉に喜ぶのは、もうやめにしてほしい。結局、増税されて国民負担が増えれば、日本経済は失速し、家計が打撃を受けることになるのだ(*1)。

*1 第一生命経済研究所「国民負担率の上昇がマクロ経済に及ぼす影響(続編)」(05年)/日本銀行「国民負担率と経済成長」(2000年)

公明党も維新も負けじと
「無償化=税負担」ラッシュの公約

 バラマキにかけては、公明党も負けてはいない。

「高校3年生までの無償化をめざして、子ども医療費助成の拡大を推進」「0~2歳児の保育料の無償化については、所得制限の緩和や第2子以降の無償化など段階的に対象を拡大」(統一地方選2023特設サイト)を掲げる。

 公明党は、昨年の参院選の公約でもバラマキ一色の公約を掲げ、防衛費財源について「(増税では)ただちに国民の理解を得るのは難しい」(山口那津男代表、22年8月23日)などと言っていた。それにもかかわらず、いつのまにか大増税に賛成しているというアクロバチックな政党だ。増税を否定するまでの半年の間に何が起きたのか、ぜひ選挙中に説明をしてほしいものである。

 日本維新の会も「無償化(税負担)」のオンパレードだ。「教育無償化へのあゆみを着実に」「給食費無償化と制服等学用品費無償化」「出産費用無償化」(2023 東京リージョナルマニフェスト)という言葉が躍る。

 地域政党・大阪維新の会の代表を務める吉村洋文大阪府知事も「大阪をさらに前に進めたい」と述べ、再選を狙う知事選挙の公約の柱として府内の高校授業料完全無償化を掲げている。

 繰り返しになるが、無償化とは税金負担のことだ。むしろ「無償」という言葉は誤解を与えかねず、「給食費の税負担」「医療費の税負担」などときちんと明記すべきではないだろうか。