職場で困っている人を見かけても、「おせっかいだったらどうしよう…」と躊躇したり、「たぶん大丈夫だろう…!」と自分に言い訳したり……。
気づかいをするときには、つい「心の壁」が現れてしまい、なかなか一歩が踏み出せないことが、あなたにもあるのではないでしょうか?
この連載では、「顧客ロイヤルティ(お客さまとの信頼関係づくり)」をベースに、ビジネスセミナーへの登壇やコミュニケーションスキルの研修講師を通して、全国200社・2万人以上のビジネスパーソンに向けて教えてきた『気づかいの壁』の著者、川原礼子さんが、「気がつくだけの人」で終わらず、「気がきく人」に変われる、とっておきのコツをご紹介します。

誰でも「気づかい」ができるようになる、たった1つの考え方Photo: Adobe Stock

ストレスが「軽減されたとき」の裏側

 気づかいのコツは、「されて嬉しかったこと」をするということです。

 ただし、今すぐに「されて嬉しかったこと」を思いつけるわけではないかもしれません。
 そのために、1つの考え方があります。それが、

「人がストレスを感じる瞬間はなんだろう?」

 という判断軸です。
 たとえば、あなたは、どういうときにストレスを感じますか。

「返さないといけないメールが溜まっているとき」
「部下に仕事を振る前の、断られないかが不安になるとき」

 など、たくさんあると思います。そして、そのストレスが減ったとき、おそらく嬉しい気持ちや安心感が芽生えると思います。
 一緒に仕事をして気持ちよかった人というのは、こうしたストレスになることが少なかったのでしょう。

「依頼したことを快く引き受けてくれた」
「スムーズに会議が進行された」

 など、あなたにとってストレスになることが軽減されている裏側に、その人からの「気づかい」が隠れています
 そこを掘り下げてみると、人からの「気づかい」に気づけるかもしれません。
 そして、それをあなた自身の仕事に取り入れてみるのです。

人のストレスをなくす「5つのキーワード」

 私自身の経験に限らず、これまで2万人を指導してきた中で集めてきた、
「この気づかいは嬉しかった」
「仕事への意識が180度変わった」
 という「気づかいの例」を『気づかいの壁』という本に紹介しています。
 いずれも、多くのビジネスパーソンができていない絶妙な例を厳選していますが、それらに通底する重要なポイントこそが、

「人がストレスを感じる瞬間を押さえておく」

 という視点です。
 それを、「限定」「予告」「共有」「領土」「記憶」という5つのキーワードごとに整理しました。簡単に紹介すると、

● 何かを決めないといけないときのストレス
● 急に何かを振られるときのストレス
● 正論を押し付けられるときのストレス
● 自分のスペースに踏み込まれるときのストレス
● 孤独を感じるときのストレス

 という5つです。
 これらのストレスがなくなった瞬間に人は、「居心地の良さ」を感じたり、「この人がいてありがたい」という気持ちが芽生えたりします。
 それにより、働きやすい職場や信頼される上司・部下の人間関係、お客さまからの好印象などが得られます

「アメリカの友人がワオ! と驚いたテープの端」
「『いいですよ』に『もちろん』を加える部下の一言」
「返信しやすい短いメール」

 いずれも、相手にとってのストレスを減らす「気づかい」が隠れています。ぜひ、取り入れてみてください。

川原礼子(かわはら・れいこ)
株式会社シーストーリーズ 代表取締役。
元・株式会社リクルートCS推進室教育チームリーダー。
高校卒業後、カリフォルニア州College of Marinに留学。その後、米国で永住権を取得し、カリフォルニア州バークレー・コンコードで寿司店の女将を8年経験。
2005年、株式会社リクルート入社。CS推進室でクレーム対応を中心に電話・メール対応、責任者対応を経験後、教育チームリーダーを歴任。年間100回を超える社員研修および取引先向けの研修・セミナー登壇を経験後独立。株式会社シーストーリーズ(C-Stories)を設立し、クチコミとご紹介だけで情報サービス会社・旅行会社などと年間契約を結ぶほか、食品会社・教育サービス会社・IT企業・旅館など、多業種にわたるリピーター企業を中心に“関係性構築”を目的とした顧客コミュニケーション指導およびリーダー・社内トレーナーの育成に従事。コンサルタント・講師として活動中。『気づかいの壁』(ダイヤモンド社)が初の著書となる。